クラウドにも不況の風、採用凍結も。
成長を続けてきたクラウドコンピューティング基盤の市場に変調の兆しが出てきた。
7〜9月期は市場の成長率が3割を下回り、最大手の米アマゾン・ドット・コムは採用凍結に動く。
金融引き締めによる景気後退やインフレの長期化を警戒する顧客の倹約姿勢が、
「不況に強い」とされるクラウドにも影響を及ぼし始めた。
アマゾンは3日、今後数カ月にわたって人材採用を凍結すると発表。
小売事業ではすでに採用活動を止めており、広告やクラウドコンピューティング事業にも拡大する。
人材担当のベス・ガレッティ上級副社長が社員に送ったメモを公開。
新規採用の停止について「今後数カ月は続ける」とし、その後は事業の状況に応じて調整していく方針を示した。
ガレッティ氏は「普通ではないマクロ経済環境に直面しており、経済情勢を踏まえて採用や投資のバランスを取りたい」と説明。
アマゾンは10月にインターネット通販や店舗運営といった小売事業での採用凍結を決め、段階的に対象を広げてきた。
10月27日に開いた7〜9月期の決算会見でも、ブライアン・オルサブスキーCFOがコスト削減に注力している点を強調。
一部の製品やサービスは開発プロジェクトを中断した。
同社は前年同期と比べて2~8%のプラスにとどまり、成長の減速が目立ってきている。
11月3日にはオンライン決済大手のストライプが従業員の14%にあたる1100人規模の人員削減を明らかにした。
ライドシェア大手のリフトも従業員の13%を解雇すると公表。
採用凍結や人員削減を通じてコスト抑制を図る米企業は一段と増えている。
イーロン・マスク氏が経営権を握った米ツイッターで4日、大規模な人員削減が始まった。
対象は数千人規模にのぼるもようで、日本法人で働く社員も対象。
ツイッター上には退職した社員からのものとみられる「時代のおしまい」などの悲痛な投稿があふれている。
人材の流動性が高い米シリコンバレーの企業でもこれほどの規模の解雇は珍しく、余波が続きそうだ。