E・トッド氏が、日本の核保有の必要性を説明中に、
木村太郎 氏がフランス語で「絶対にそれはなし!」とE・トッド氏の話を止め、終了。
“知の巨人”の異名を持つエマニュエル・トッド氏は、フランスの人口統計学者で研究分野は歴史人口学、家族人類学。
『日曜報道 THE PRIME』に出演し、日本の安全保障や国際秩序などを、木村太郎しや橋下徹専制と激論を交わした。
トッド氏は、国際情勢に関し、「人口動態を見れば、中国が支配的な覇権国家になることはほとんど不可能」、
「ロシア経済は非常に柔軟。プーチン政権が崩壊すると仮定するのは完全な幻想」などと持論を展開。
トッド氏は、統計を基にした人口動態や家族類型などから国際情勢を分析し、
ソ連崩壊やアラブの春などを予告したことで知られる。
「同盟国としての米国の信頼性は非常に低い」と指摘し、
「日本の唯一の安全保障は核を持つことだ。核を持てば安全で、中立的な立場をとることができる」と強調。
トッド氏は、米国による『核の傘』についても「幻想で存在しない」との見解を示しており、
日本は安全保障で米国から自立するべきだと提起している。
これに木村しは強く反発。日本の核保有については「絶対にない」と反論。
橋下専制もトッド氏の「中国脅威否定論」に懐疑的な見方を示、日本の防衛力強化の必要性を強調。
トッド氏は、「中国の出生率は著しく低く、すぐに労働年齢人口も減っていく。出生率は1.3とますます低下している。
中国が支配的な覇権国家になることは考えにくい。ほとんど不可能だと予測する」と述べ、
「これは日本への警告だ。我々(欧州)はこの米国の政策により破壊されている。
同じような政策により、日本は自らを滅ぼさないでほしい。もちろん中国との問題はあるだろうが、
中国と日本経済の間には大きな相互依存関係がある。だから中国と話し合うべきだ。もちろん軍備増強は必要だ。
私は現実主義者だ。戦争をしないためにも軍備増強をしなければならない。
一歩下がって考え、感情的な態度から抜け出すべきだ」と、わたし同様の考えを述べた。
トッド氏:「我々は同盟国、米国の信頼性に関して様々な経験をしてきた。
ご存じの通り、信頼性は非常に低い。
米国は問題を解決するためにイラクに介入し、そして退去した。欧州に介入し、混乱を生んだ。
彼らは実際の戦闘には参加するつもりはない。
米国から見ると、世界には、欧州、中東、東アジアという3つの重要な局面がある。
今度は日本の番だ。米国の信頼性がいかばかりのものか、体験してみるといい。
私は日本が独自の安全保障政策を持つべきだと確信している。
しかし、日本には人口(減少)問題がある。唯一の安全保障は、何度も言うが、核を持つことだ。
核を持つことは、攻撃的な軍事政策を行うこととはまったく異なる。むしろ逆だ。
新たな立場をとるということだ。核を持てば安全であり、中立的な立場をとることができる」
木村氏し(フランス語で)絶対にない。
トッド氏: フランスはその立場だ。
梅津キャスター: その議論はかなり慎重にすべきかと思う。CM。
トッド氏はGDPがもはや「時代遅れの指標」であると指摘。
現下の戦争をGDPの観点から見てみましょう。ロシアによるウクライナ侵攻前夜の2021年、
世界銀行のデータによれば、ロシアとベラルーシのGDPの合計は、
米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、EU、ノルウェー、スイス、
日本、韓国のGDPの合計のわずか3.3%にしか相当していません。
一国単位で見れば、ロシアのGDPは韓国と同程度です。
ではなぜ、これほど「小国の」ロシアが、GDPで見れば、
ロシアを圧倒している西洋諸国全体を敵に回すことができているのでしょうか。
これだけ経済制裁を受けているのに、なぜロシア経済は崩壊しないのでしょうか。
答えは簡単です。GDPで測られる「経済力」はもはやフィクションにすぎず、
リアルな経済的実態を反映していないのです。
モノよりサービスの割合が高まるなかで、GDPは「現実を測る指標」としてのリアリティを失っていったのです。
ここでは米国の医療を例にとりましょう。医療部門は、欧州諸国ではGDPの9~11%程度を占めているのに対し、
米国は約2倍で、GDPの18%にも達しています。
では、これだけ膨大な額が費やされている米国人の健康はどうなっているのでしょうか。
米国の平均寿命は77.3歳で、ドイツの80.9歳、フランスの82.2歳、スウェーデンの82.4歳、
日本の84.6歳にはるかに及びません。
米国の医療費の半分以上は、医師の過大な収入と異常に高価な医薬品(世界の支出の半分)で占められています。
米国の医療は、莫大なカネがかかっているのに実質的な成果を生んでいないのです。
これが、GDPでは見えてこない米国の現実です。
経済統計は噓をつきますが、人口統計は噓をつきません。
ロシアの乳幼児死亡率は2000年頃から大幅に改善し、
いまやロシア(2020年時点で出生1000人当たり4.9人)の方が米国(5.4人)を下回っています。
「経済構造」と「家族構造」が驚くほど一致しているのです。
父系的社会は、第二次産業に強く、モノづくりは男性原理と親和性があるといえそうです。
これに対して、女性のステータスが比較的高い双系的社会は、第三次産業と親和性をもっています。
女性の解放によって女性の社会進出が進んだわけですが、
その過程で増えたのは第二次産業よりも第三次産業の雇用で、結果的に社会全体の第三次産業化が進み、
自国の産業基盤は衰退してしまいました。
現在の世界のかたちがどうなっているか。
一方は「消費」に特化し、他方は「生産」に特化するというかたちで2つの陣営に分かれています。
しかも、2つの陣営が極度に相互依存関係にある。これがわれわれが生きている世界の構造であり、
いま始まっている戦争も、こうした文脈で起きていることが、最も重要なポイントです。
この戦争は「奇妙な戦争」です。対立する2つの陣営が、経済的には極度に相互依存しているからです。
ヨーロッパはロシアの天然ガスなしには生きていけません。米国は中国製品なしには生きていけません。
それぞれの陣営は、新しい戦い方をいちいち「発明」する必要に迫られています。
互いに相手を完全には破壊することなしに戦争を続ける必要があるからです。
(日本もサハリン2を継続‘@)
私が見るところ、戦争の真の原因は、紛争当事者の意識(イデオロギー)よりも深い無意識の次元に存在しています。
家族構造(無意識)から見れば、「双系制(核家族)社会」と「父系制(共同体家族)社会」が対立しているわけです。
戦争の当事者自身が戦争の真の動機を理解していないからこそ、極めて危うい状況にあると言えます。
事実上、米国とロシアが戦っている以上、「第三次世界大戦」がすでに始まったと私は見ていますが、
今次の世界大戦は、第一次大戦や第二次大戦とは性質を異にしています。
ちなみに中国に関して言えば、出生率1.3人の国とはそもそも戦う必要がありません。
将来の人口減少と国力衰退は火を見るより明らかで、単に待てばいい。
待っていれば、老人の重みで自ずと脅威ではなくなるでしょう。
ドイツでは、政治システムが機能不全に陥っていて、庶民層の不満が蓄積しています。
イギリスも、ブレグジットにもかかわらず、欧州のなかで経済が一番うまくいっていません。
少子化対策にも移民受け入れにも本格的に取り組んでいない日本が、
対外膨張的な政策を展開することはあり得ないでしょう。
私の目には、日本はそもそも国力の維持すら諦めているように見えます。
つまり、どの国もうまくいっていない。今次の戦争の当事国はどこも「弱小国」で、
どこかに弱みを抱えている国同士がやり合っているのです。
ここに第一次世界大戦や第二次世界大戦との大きな違いがあります。
このことは、人口動態を見れば、一目瞭然です。
‘@日本は無能な政治家の施策のために、収入以上の金を毎年使い込み、税収が増えても増税をする。
足下の対策をしないで、目先の事ばかりに金を垂れ流してきた。
人口減少や自給率、全てに繋がる根本的なことを蔑ろにしてきた。
日本はある意味『熟した』のだ。巨額の金を注ぎ込んで無理をせず、現状で国民が平和で安心な国を目指すべきだ。
トッド氏の述べる通り、このままでは日本が衰退への道を辿るのは目に見えている。
人口は減り高齢者は増える。生産能力が無くなる。
中国やロシアと戦って日本は勝てるのか。
いくら武器を購入しても中国には及ばない。
だとすれば、余計な金を使わないで「核を持つことだ」と、トッド氏は述べている。
それを目指しているのが北朝鮮。
中国の人口減は国がまた「増やせ」と言えば増える。それが出来るのが中国。