政治・経済、疑問に思うこと!

より良い日本へ願いを込めて。

超過死亡原因の究明を。

日本で、昨年の4月から9月にかけて観察された超過死亡の発生は、

1回目接種が開始された2月17日の週から9週後に始まった。

3回目接種が開始されたのは、昨年の12月1日であるが、10週後の今年の2月6日の週から超過死亡が発生。

4回目接種が、5月25日から開始されたので、10週後にあたる8月の死亡統計が注目されていた。

10月26日に発表があった人口動態速報によると、死亡者数は、前年の8月と比較して17,845人、

増減率にして15.1%の増加が見られた。



このように、ワクチンの接種開始と超過死亡の発生する間隔には再現性が見られる。

今年の2月18日に開催された第76回厚生科学審議会で、

国立感染症研究所(感染研)の鈴木基感染症疫学センター長は、

海外からワクチン接種が超過死亡の原因とする論文の発表がないこと等を理由に、

超過死亡の原因としてワクチン接種の関与を明確に否定した。

ところが、韓国の日刊紙である中央日報に、

「韓国、8月の死亡者が過去最大の急増」という見出しの記事が掲載された。



韓国でも日本と同様に、前年の8月と比較して4,083人、増減率にして、15.8%の死亡数の増加が観察された。

増加の原因として新型コロナの再流行が影響したのではないかとコメントしている。

韓国でも、この時期にBA.5が猛威を振るっていた。

日本は、昨年の12月1日から、韓国では11月1日から3回目ワクチン接種が始まったが、

11月2日現在の接種率は、日本が67.6%、韓国が67.2%とほぼ等しい。



全死亡による超過死亡がみられた時期に一致して、

新型コロナウイルス感染症以外の疾患」による超過死亡が発生した。

コロナウイルス感染症以外の疾患とは具体的に何を指すのだろうか。

高齢者施設でワクチン接種後に死亡した場合は、死亡診断書には老衰と記載されることも多いと想像される。
PCR検査が普及した2022年においては、日本や韓国でコロナ感染による死亡が見逃されることは、ほとんどないと考えられるので、

未診断のコロナ死がコロナ感染死以外の原因による超過死亡の原因である可能性は低い。

今回観察されたのは、日本や韓国のみに見られた現象だろうか。



驚いたことに、ヨーロッパ27か国のうち26か国で超過死亡が観察され、その平均増加率は12%であった。

最も増加が著しいのはギリシャの24%で、6か国で15%以上の増加が観察された。

追加接種前には、4か国とも、超過死亡と比較して、1.5〜1.7倍のコロナ感染死が生じていた。

ところが、追加接種後には、4か国とも、超過死亡数はコロナ感染死を上回っている。

人口100万人あたりの超過死亡からコロナ感染死を除いた数は、

イギリス、ドイツ、ベルギー、スペインで、それぞれ、211、337、155、131で、

日本、韓国で8月に観察された115、98を凌いでいた。

すなわち、今年の8月には、アジア、ヨーロッパを問わずに、コロナ感染死以外の原因による超過死亡が観察されたことになる。

この謎の超過死亡の原因はなんであろうか。この現象が観察された国では、

共通してコロナワクチンの追加接種率が高い。



Our World in Dataで得られる追加接種率は100人あたりの3回目、4回目ワクチンの接種回数なので100を超えることもある。

追加接種が普及していないフィリッピンインドネシアパキスタンクロアチアボスニア・ヘルツエゴビナの5か国が、

コロナ感染死以外の超過死亡が少ないグループを形成していることが見て取れる。

この8月に観察されたコロナ感染死を除いた超過死亡の激増は、日本ばかりかワクチンの追加接種が普及した各国で共通して観察されている。

超過死亡とワクチン接種との関連を否定していた厚労省も、10月27日に開催された参議院厚生労働委員会で、

川田龍平議員の質問に対して、佐原康之健康局長は超過死亡とワクチン接種の因果関係の判断は困難だと答弁しており、見解が変わったようにも見える。

超過死亡の原因については、国民の関心が高く、5回目接種や子どもへの接種を進めるにあたっては、

まず、超過死亡の原因に関する国民の疑念を晴らすことが必要である。

小島 勢二
名古屋大学名誉教授・名古屋小児がん基金理事長
小児がんや血液難病患者の診療とともに、新規治療法の開発に従事。
2016年に名古屋大学を退官し、名古屋小児がん基金を設立。