朝日新聞は1月20日の「天声人語」で「いま緩和に動いて本当に大丈夫なのか。
第8波は続き、高齢者を中心に死者数も過去最多レベルだ。誰かに犠牲を強いることにならないか」と記した。
私は、このような論調に賛同できない。今こそ、高齢者はワクチンを打って、普段通りの生活を送ることを勧めたい。
感染症を恐れて、自粛を続けることは高齢者のためにならないからだ。
医療ガバナンス研究所の山下えりか医師は、厚労省の「人口動態統計」を用いて、2019年と2021年の死因の変化を調べた。
驚くべきことに、19年と比べて、21年に人口10万人あたりの死亡数が最も増えたのは老衰(25人増、25%増)だった。
次いで、コロナ(14人増)、誤嚥性肺炎(7人増、23%増)
逆に肺炎(18人減、23%減)、脳血管疾患(2人減、1.8%減)、不慮の事故(1人減、2.1%減)は減っていた。
厚労省やマスコミは、コロナによる医療逼迫が死者増に影響しているというが、どうやら、それは的外れのようだ。
もし、そうなら心筋梗塞や脳卒中などの急性疾患での死者が増えているが、
心疾患は微増、脳血管疾患に至っては減っている。
老衰、誤嚥性肺炎、アルツハイマー病による死者数の増加は、コロナの2.4倍だ。
このような疾患は、老化による身体や認知機能の低下が原因だ。
自粛による運動不足や、社会的な孤立が影響したと考えるのが自然だ。
これは隔離一辺倒の感染症対策が、国民に過剰な恐怖心を植え付け、国民を過剰に自粛させたためだ。
私は、コロナから我が身を守るために、ワクチンを打って、日常生活に戻ることをお勧めしたい。
ワクチンを打ち、体力が維持されていれば、高齢者が感染しても問題なく治癒する。
‘@だとすれば、なぜこれほどの高齢者が新形コロナで亡くなっているのか。
厚生労働省では「老衰」での死亡例は全て90歳以上であったとしている。
どの時点で死亡したのかについてみると、ワクチン接種後1~3日後だった。
ワクチン接種を受けた後に短期間でいきなり急激に老化が進んで死に至ったことを意味することは理解しにくい。
厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会でも、死因の調査が十分でないまま報告された可能性があると考えているようだ。
今後は死亡原因をよく調査して報告することが求められるとしている。
老衰は医学的にも望むべき姿と思われるが、感染症予防のために接種されたワクチンで、
いきなり「老衰」での死亡というのは簡単に納得できるものではない。
コロナ禍で自宅での老衰が増えてきているようだ。
病院は感染の危険が高い、入院すると面会ができなくなるなどの思いが広がって、病院への足が遠のいている。
訪問診療を手掛ける診療所から「訪問先が増えた」という声がよく聞かれる。
死亡診断書の死因には病名が記される。
大学病院などは老衰は病名でないから書いてはならない。
在宅医になって初めて老衰死を書くようになったと述懐する診療所の医師は少なくない。
高齢者が普段通りの生活をすれば、新型コロナで高齢者の死者がさらに増えると危惧する。
病院死比率の多い1990~2009年には、老衰死は2万~3万人と低迷状態が続いた。
その結果、2019年には場所別の老衰死で、施設(老人ホーム)が病院をかなり上回って過半数近い46%となった。
高齢者をこれ以上新型コロナの犠牲にしてはならない。