相手を脅して抑止するのは「幻想」
自衛隊と米軍が今月、3万6000人を投入して実施した大規模共同演習「キーン・ソード23」。
精密誘導弾などの実弾射撃を行い、長射程化で敵基地攻撃能力への転用を念頭に置く、
「12式地対艦ミサイル」発射準備の手順も確認。
見据えるのは、台湾侵攻も辞さずに軍拡に突き進む中国。
在日米軍トップのラップ司令官は、自衛隊の山崎幸二統合幕僚長と並んだ記者会見で、
「日米の戦力を向上させ、よりダイナミックな能力と可能性を追求し続けることが日米同盟に貢献する」と力説。
ラップ司令官は日本は戦う意欲を見せよと迫る。
日本は憲法9条の下、安全保障の基本方針として「専守防衛」を堅持。
自衛権の行使を必要最小限度にとどめるのが大原則だ。
日米の役割分担で打撃力を米国に委ね、日本は国土防衛に徹する「矛と盾」の関係には、周辺国との緊張を高めない狙いもあった。
だが、安倍政権から受け継ぐ岸田政権は今、「反撃能力」という名の敵基地攻撃能力に手をかけ、
この鉄則を大転換しようとしている。大義にするのは、中国や北朝鮮よる脅威だ。
7月まで防衛省で事務次官を務めた旗振り役の島田和久内閣官房参与は、
「米国だけでなく、日本からも反撃を受けるとなれば相手側の戦略計算を複雑にし、抑止力が向上する」と説く。
敵基地攻撃能力は本当に抑止力になるのか。
安全保障に詳しい東大大学院の遠藤乾けん教授は、
「抑止は基本的に威嚇して脅すこと。相手が脅威を認識しないと成り立たない」と解説。
ミサイルが移動式の車両や潜水艦から発射される現代は標的を正確に把握しづらく、
司令部も強固な地下施設などで破壊は難しい。
「日本が攻撃能力を持てば、相手はそれを上回る破壊的な攻撃力を持つエスカレーションの階段を上っていく」と説明。
「相手を脅して抑止するのは幻想だ。攻撃力が自分たちへの刃になる」と語る。
東大の石田淳教授(国際政治学)は「専守防衛という長年の宣言政策の信頼が低下し、
他国の不安をかき立てる」と警鐘を鳴らす。
日本と中国や北朝鮮は近接し、ミサイルに対応する時間は限られる。
「何かあったらすぐに日本もミサイルを撃たなければならず、誤認による偶発戦争も起こり得る。それが怖い」と危ぶんだ。
‘@当たり前のことが理解できない。小手先の防衛で中国に敵うはずもない
相手が核持っているのだから、こちらも核が無いといくら軍備増強してもウクライナ同様になる。
プーチンがウクライナに侵略したのは、西側がプーチンを追い詰めたからだと言っていたことを忘れたのか。
日米が北朝鮮や中国を追い詰めたらどうなるのか。
「敵基地攻撃能力」で国民の安全は高まるどころか、かえって国民の命を危険にさらすことになる。
安保政策の大転換となる判断の是非は慎重に国民に問うべきだ。