中国「台湾侵攻」ぼ大嘘、日本人の“低すぎる防衛意識”
小川 和久(軍事アナリスト)
(抜粋)
日本で取り沙汰されている「台湾有事論」には“科学的な視点”が欠け、 軍事的合理性もない、ということです。
まず2021年の台湾有事論を紹介し、どこがどのように非科学的なのか、お話しします。
2021年3月、台湾有事の問題に火がついたきっかけは、インド太平洋軍司令官だったデビッドソン海軍大将が、
上院軍事委員会の公聴会で「中国の脅威は6年以内に明らかになる」と証言したことでした。
「彼ら(中国)は、ルールにのっとった国際秩序におけるアメリカのリーダーとしての役割に、
取って代わろうという野心を強めている、と私は憂慮している。2050年までにである」
「台湾は、それ以前に実現させたい野望の一つであることは間違いない。
その脅威はむこう10年、実際には今後6年で明らかになると思う」
「アメリカ領のグアムを奪う構えすら見せている」
「インド洋のディエゴガルシア島やグアム島にある米軍基地に酷似した基地への模擬攻撃の動画も公表している」
デビッドソン大将はこう指摘し、中国のミサイルを防御する「イージス・アショア」のグアムへの配備を求めたほか、
「やろうとしていることの代償は高くつく、と中国に知らしめるため」に、攻撃兵器の予算の拡充を議会に求めました。
ところが、火元のアメリカでは証言3か月後の2021年6月17日、米軍トップのミリー統合参謀本部議長が、
上院歳出委員会の公聴会で次のように発言します。
「中国が台湾全体を掌握する軍事作戦を遂行するだけの本当の能力を持つまでには、まだ道のりは長い」
「中国には現時点で(武力統一の)意図や動機もほとんどないし、理由もない」
「近い将来、起こる可能性は低い」
つまり、米軍のトップがデビッドソン証言をはっきりと否定したわけです。
このデビッドソン証言については、アメリカでは海軍予算を増やすためのアピール、
中国の脅威への警鐘という評価だけでなく、上陸作戦に無知だったという酷評さえ出ています。
意外かもしれませんが、米軍でも上陸作戦のことを教育されるのは海兵隊と陸軍のエリートだけで、
海軍と空軍の大部分には知識がないのです。
‘@デビッドソン氏の発言が非科学的でミリー氏の発言が科学的という意味が理解できない。
台湾は日本の九州の約8割ほどの面積だ。
上陸しなくても、中国はミサイルや空と海から攻撃する能力を持っている。
中国が台湾を攻撃する動機や意図は十分にある。
中国は常に統一を訴え、10月16日の共産党大会で習近平国家主席は冒頭の演説で、
台湾を統一するためには武力行使も排除しないと表明した。
米のアントニー・ブリンケン国務長官は翌17日、中国が以前の予想より「はるかに速いスケジュールで」台湾の統一を目指していると述べた。
米海軍制服組トップのギルデイ作戦部長は19日、米シンクタンクのイベントで、
中国による台湾侵攻が起こり得る時期について、
「2022年や23年の可能性を排除できないと思う」と述べた。
これまでの予想よりもさらに早い時期に触れ、警戒感を示した。
ミリー統合参謀本部議長の発言の方が、あまりにも呑気な発言だと思うが。
「まさかロシアがウクライナに侵攻しない」と大方の見方を他所に、プーチンはウクライナに戦争を仕掛けた。