新型コロナの感染者が増加傾向にある中、東京 北区のクリニックでは、
発熱外来の受診を希望する患者からの問い合わせが急増していて、
医師は「医療の崩壊を防ぐためにも自己検査のさらなる啓発や発熱患者の受け皿の整備が急務だ」と危機感を訴える。
東京 北区の「いとう王子神谷内科外科クリニック」では、新型コロナやインフルエンザのワクチン接種を行うとともに、
発熱外来を設けて患者に対応している。
受診を希望する人からの電話は、先月後半は1日10件、土日も20件ほどだったが、
この2週間で4倍から5倍に増加し、院内で行う抗原検査の陽性率も6割ほどに上っているという。
クリニックでは院長がほぼ1人で対応していて、1日に診ることができる発熱患者は10人ほどが限界。
希望者には抗原検査キットを配布しているほか、高齢者や妊婦など重症化リスクの高い人については、
診療時間や予約枠を超えてでもできるだけ診察するようにしているという。
伊藤博道院長は「感染のピークに向けて発熱患者を診る受け皿を大幅に増やしていかないと、
診察できないまま急変するケースが出るなど立ちゆかなくなるのは明らかで、
対策を考えていく必要がある」と危機感を募らせる。
一方で、第7波までと比べて検査キットを使って自分で検査を行う人が増えていることが、
発熱外来の負担軽減につながっているということで、
伊藤院長は「自己検査をさらに普及させることが医療の崩壊を防ぐための鍵になる。
症状が出たあと時間をおいて検査するなど正しい使い方や検査キットの入手方法など情報を発信していくことが重要だ」と話した。