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​“死ぬのを見守るしかできない” 施設の苦悩。

ことし初めに押し寄せた、新型コロナウイルスの第6波。

オミクロン株による感染の急拡大で病床がひっ迫する中、大阪府が高齢者施設などに向けて出した通知。

「(入院の)対象に該当しても病床のひっ迫状況などによりやむを得ず施設内療養をお願いする場合があります」

クラスターが起きた府内の施設では、感染した入所者の容体が急変しても入院できなかったケースが出るなど、困難な事態に直面。



第6波のまっただ中のことし1月末。大阪・守口市にある有料老人ホームで大規模なクラスターが起きた。

入所者の1人が発熱したのをきっかけに、感染は40人の入所者のうち、33人にまで広がった。

この施設には日中に看護師はいたものの、医師は常駐していない。

施設長は、ふだん訪問診療を依頼している診療所に連絡しましたが、診療には来てもらえなかった。

感染した入所者の中には症状が悪化し入院が必要になる人もいたが、看護師と介護士だけで対応せざるをえなかった。
入所者の89歳の男性は感染確認から容体が急変。

救急車を呼び、保健所にも入院を依頼したが、受け入れ先は見つからなかった。

その翌日、男性は施設内で息を引き取った。



利用者29人が感染し、入院できないまま2人が見殺しにされた。

大阪府の調査によると、ことし2月24日の時点で、施設内で療養していた人は全体の9割を占めた。

第6波、高齢者施設の関連で亡くなった人は94人となっている。(2022年11月時点)

これは新型コロナ対応だけではなく、今後の高齢社会に向けた大変重要な課題となるはずだが、

一向に改善の兆しは見えない。

感染が急速に拡大し、クラスターが起きれば第8波でも起きる懸念が十分ある。



感染した人を重症化させないためには、いかに早く治療できるかが重要。

第8波が目の前に迫り、再び感染が拡大しかねないなか、高齢者施設にどのように医療を届けるのか。

高齢者は死んでも仕方がないという論調が強まる中、政府も自治体もさしたる対応をせず、

高齢者の命を守る体制は置き去りにされている。

国民の多くもそれを容認している。

だが身内がそうなったら、自身がその立場になったら同じことが言えるのか。