政治・経済、疑問に思うこと!

より良い日本へ願いを込めて。

新型コロナ “第5波より現場は混乱”

現場は地獄。

意訳。



医師が見た高齢者施設のクラスター “第5波より現場は混乱”

先月下旬、都内の高齢者施設で医師が目の当たりにしたのは、

必要な治療が受けられず、脱水症状を起こしたお年寄りの姿です。

今、軽症が多いとされるオミクロン株の感染が拡大。

しかし1日に亡くなる人の数は過去最多を更新している。

そのほどんどは高齢者で高齢者施設でのクラスターもかつてない数に上っている。

「介護現場は第5波よりも混乱している」

高齢者の場合、感染が分かれば原則入院することになっているが、

これまでも感染者が増えると介護が必要な高齢者の入院先を探すのは困難を極めた。



都内の特別養護老人ホームでは4日前から複数の職員と入所者に発熱などの症状が出ていた。

こうした施設では入所者の健康管理をする医師を置くことが義務づけられているため、

この施設でも非常勤の嘱託医がいるが、往診をお願いしてもなかなか来てくれないという。

備蓄していた抗原検査の簡易キットも在庫がつき、検査すらままならない状態になっていた。

新型コロナへの感染が確認できなければ治療薬の投与もできない。

「とにかく、まずは検査をしてほしい」

感染が広がると高熱やのどの炎症によって食事がのどを通らなくなる。

中には丸1日全く水分をとることができない人もいて、脱水症状を起こす人が相次いだ。

点滴で水分補給をしようにも感染の急拡大で薬剤は入手しにくい状態で、点滴が行き渡らない。

脱水症状を起こした高齢者の中には数日のうちに起き上がることができなくなり、

ほぼ寝たきりの状態になってしまった人もいた。

脱水を起こした高齢者の血管は細くなっていて、針を刺すのが難しい。

検査の結果、感染が確認されたのはおよそ60人の入所者のうち、少なくとも9人(その後13人に拡大)。

フロアーを担当する看護師や介護職員にも感染が広がっていた。



国は、これまでの教訓から高齢者施設で職員にも感染が広がった場合に、

別の施設などから応援の介護職員を派遣するシステムを構築している。

しかし、感染が発生する施設が相次ぐ中、人手が足りないのはどこも同じ。

このため、残った職員が感染した入所者への医療的なケア、感染拡大を防ぐ対応、

そして介護を続けなければならない状態に陥った。

容体が急変し病院に救急搬送する必要がある入所者も複数いたが、受け入れ先が見つからない。

このうち91歳の男性は搬送先を探す救急車の中で息を引き取った。

オミクロン株は比較的軽症の人が多いのは事実だが、感染者の数が圧倒的に多いのが問題で、

現場は第5波の時以上に混乱していた。

厚生労働省のまとめによると、全国の高齢者福祉施設で確認されたクラスターなどの数は、

2月14日までの1週間に455件。

これまででもっとも多かった、およそ1年前のピーク時と比べても4倍に上っている。

「1人の職員が25人の入所者を介護している」

「管理職が朝から次の日の夜まで働き続けている」

「陽性の職員が陽性の入所者を介護している」といった悲痛な声をいくつも聞こえる。

もっと早く医療支援が得られれば入所者が亡くなることもなかったのではないか。

(合掌)



​(社会部 小林さやか