メディアの影響も大きい。
30年間、日本経済は低成長を続けてきた。
30年間で日本の実質GDPは約1.25倍にしか増加しておらず、他の先進諸国に比べると低い水準だ。
なぜ日本の労働者の給料は上がらないのか。その点について、日本自動車工業会の会長である、
トヨタ自動車の豊田章男社長が、持論を語った。
このコロナ禍においても、日本全国で約88万人の雇用が減少しているなかで、
自動車産業は27万人の雇用増を成し遂げました。
この27万人に平均年収500万円をかけると、約1兆3500億円というお金を、家計に分配しているということになります。
これだけでなく、自動車・部品産業は2009年以降、賃上げ率は約2.2%/年となっており、
これは全業種平均(約2.0%)を上回っております。
しかしながら、この「流れ」の中に組み込まれているのは、私どもがよくいう、
「(自動車関連産業)550万人」のうちの約3割の人々であって、残りの7割(以上)の人たちは現在「話し合いの場」にすら立てておりません。
先ほどご質問にあった連合(日本労働組合総連合会)と経団連との話し合いですが、
この話し合いは毎年やっておりますけれども、あれも(全労働者のうち)約8割(以上)の方が話し合いに入れていないんですね。
日本全体の「賃上げ」を達成するためには、この70~80%の人たちに、
どう影響を与える活動をしてゆくかということだとわたくしは考えております。
正直申し上げまして、継続的に昇給している会社って、かつて(マスコミから)褒められたことがありません。
メディアの皆さんも、年始の賀詞交換会から「今年の賃上げはどうなりますか」、だとか、
あとは「どこが満額か」、「そうでないか」という報道ばかりになります。
この点について、マスコミ各社もぜひ「動き方」を考えていただきたい。
いま、日本において広がりつつある「格差」をこれ以上広げないためには、
中間層を中心に「みんなにどう働く場を与えていくか」だと考えております。そのために、何をどう報じるのか。
「自動車産業がやってきたことを見習ってほしい」などと横柄なことを言いたいわけではありません。
言いませんが、我々は経済波及効果が高いがゆえに、ずっと以前から「分配」ということを考えてきた歴史があります。
そのことについて、「我々はこんな動きをしてきましたよ」ということは伝えてゆきたい。
話し合いの場につけた人だけが「達成できたよ」と喜ぶのではなくて、そういう場につけない人たちのために、
どういう動きをすればいいのかを考えております。
ですので、ぜひこの「春闘」というものが日本国民全体のためにどうあるべきか、
それが国民の皆さんにどう映るのかも含めて、マスコミ各社の皆さまにもぜひご協力いただければと考えております。
‘@豊田会長は自動車業界を自慢して他人事のように喋るが、自動車関連産業の7割以上の人たちは、
賃上げの話し合いの場にすら立てていないと認めている。
その下請けを泣かしているのが、トヨタそのものだ。
自動車や業界の賃金が平均より上なのは、トヨタ本社や子会社など極一部の本社に近い会社だ。
豊田会長が疑問を呈するなら、なぜ30年間の間に豊田会長自身がそうやってこなかったのか。
その間、税金も払わず下請けを泣かせ自社を育て上げてきたのだ。
わたしには、何をいまさらきれいごとを言っているのだとしか思えない。
見習うほどのことをやっていないから7割以上の人たちが泣いているのだ。
「そのお陰でいいまの自分たちがある」ということを忘れてはならない。
そして、その根本的原因と責任は、30年間の間ほぼ政権を担ってきた自公政権にあるということだ。