世界最大規模の米石油会社エクソンモービルは、1970年代にすでに、
気候変動による地球の温度上昇を正確に予測していた。
そんな調査結果が、米科学誌「サイエンス」に掲載された。
調査に当たった研究者たちは、石油大手エクソンモービルの内部文書にあるデータを分析。
その結果、エクソンモービルは、化石燃料の燃焼が地球を温暖化させることを研究で予測していたが、
公にはその関連性を否定していたことがうかがえるとした。
米ハーヴァード大学のナオミ・オレスケス教授(科学史)は、
「エクソンモービルの経営陣は自社の科学者が非常に質の高いモデリング研究を行っていることを把握し、
その部外秘の情報にアクセスしながら、ほかの人に対しては気候モデルはでたらめだと伝えていた」と語った。
今回の発見は「決定的な証拠」だと、報告書の共著者で米マイアミ大学のジェフリー・スプラン准教授(環境科学政策)。
「我々の分析によって、エクソン側が知っていたこと、つまり同社の化石燃料製品を燃やせば、
地球の気温が10年ごとに摂氏約0.2度上昇するということを、初めて実際に数量化することができた」としている。
過去の複数の調査では、エクソンモービルが温暖化に対する疑念を広めようとしたことを示唆する社内文書が見つかっている。
ある内部文書には、温室効果に関する「科学的結論における不確実性を強調するエクソン側の立場」が記されていた。
科学誌「サイエンス」に掲載された調査結果は、気温が2度以上上昇した世界で最悪の影響を回避するため、
CO2排出量をどのように削減すべきかについて、エクソンモービルが合理的な見積もりを算出していた。
また、同社の科学者たちは、氷河期が到来するという説をほかの研究者たちが議論していた時期に、
この説を正確に否定していた。
同社は否定している。
「この問題はここ数年の間に何度も浮上しているが、いずれの場合も我々の答えは同じだ。
『エクソンは知っていた』と語る人々の出した結論は間違っている」と訴えた。
同社が化石燃料ビジネスの利益を守るために誤った情報を流したなどとして、
これまでにアメリカの複数の州や市が提訴している。
マサチューセッツ州の裁判所は昨年5月、エクソンモービルが気候変動への影響についてうそをついていたとして、
同州が起こした裁判で、訴えの却下を求める同社の主張を退けた。
エクソンモービルは気候変動に関する問題で、圧力を受け続けている。
今回公表された調査結果はそうした動きに拍車をかけるものとなった。
(ナオミ)
‘@自社に不利なことは言わないのだろうが、世界的に影響を及ぼすことは正直に発表すべきだ。
エクソンが悪い分けではない。
ただ訴訟社会の米国、これから流れは変わるのか。
だとすれば隠すより表に出していた方が良かったという結果になりかねない。