岸田総理は日銀の次期総裁に元審議委員で経済学者の植田和男氏を起用する人事案を固めた。
政府が雨宮正佳副総裁に次期総裁への就任を打診したと一部で報じられた6日。
雨宮氏は周囲に就任を固辞すると漏らした。
次期総裁の人選を巡っては、政府は当初から日銀出身者を有力視してきた。
「ここまで複雑になった金融政策を解きほぐせるのは日銀出身者しかいない」
雨宮氏のほか、中曽宏前副総裁らの名前が取り沙汰されていた。
背景には、黒田氏が進めた異次元緩和に限界が見えてきたことがある。
(文字もろくに読めない総裁だった)
世界的にインフレが広がる中、主要国・地域の中央銀行で日本だけが緩和政策を続けたことで、
昨年は急速な円安が進行。緩和に固執する硬直的な金融政策が物価高に拍車を掛けたとの批判も出ている。
ただ、緩和策の修正は事実上の金融引き締めとなりかねない。
これからの5年間、難しいかじ取りを迫られ悪影響が出れば批判されるのは日銀総裁。
日銀出身者以外に引き受け手はいないとの見方が広がった。
その上で問われたのが、アベノミクスとの距離感。
安倍政権の経済政策「アベノミクス」の異次元の金融緩和策をどう継承し、どう修正するのか。
岸田総理は昨年3月の日銀審議委員人事で、積極緩和を唱える「リフレ派」の起用を見送り、
緩和路線修正にかじを切るかに見えた。
だが、岸田政権の支持率は低迷。
政権基盤維持には、自民党の最大派閥「安倍派」への配慮は避けられない。
世界経済の減速懸念が強まる中、財務省が1月19日に発表した貿易統計によれば、
2022年通年の貿易収支は19兆9713億円の赤字。比較可能な1979年以降で最大の赤字額となった。
金融市場への悪影響回避という面でも、明らかなアベノミクス修正は選択できない状況となった。
こうした中、有力候補とされた雨宮氏や中曽氏は昨年から就任に難色を示し、最後まで固辞。
‘@どちらにしろ、かじ取りの難しい日銀。
良く分かっている人は、これから5年もの間針の筵に座るのは避けるだろ。
自身の信念を曲げても、何が何でも長になりたいのは政治家くらいだ。