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​黒田総裁経済の好循環を生み出せなかったのはどうして?

4月8日に任期を満了する日銀の黒田東彦総裁にとって最後になる決定会合が、2日間の日程で3月9日から行われている。

黒田総裁は経済の好循環を目指し、故安倍氏と共に大規模な金融緩和を行ってきたが、

金利を低く抑えても企業の資金需要は伸び悩み、設備投資も進まなかった。

10年にわたった黒田総裁の緩和策は好循環を生み出せないまま幕引きを迎える。(大島宏一郎)



だけ貸し出しに回ったかを示す「預貸率」は右肩下がりで推移。

緩和前の12年末は70%台だったが、21年末には60%台まで低下。

バブル崩壊後の日本経済が長期低迷したためで、新総裁候補の植田和男氏も衆参両院の所信聴取で、

「借り入れ需要が芳しくなかった」「投資が国内で行われず海外で行われた」と述べた。

緩和のベースになったのが、政府・日銀が13年1月に公表した「2%の物価目標」で、

日銀理事として共同声明の策定に携わったみずほリサーチ&テクノロジーズの門間一夫氏は、

物価目標には「日銀の金融緩和と政府の成長戦略の両方を進める目的があった」と解説。

しかし「成長戦略は実現せず、むしろ国内市場が縮小したため、企業がお金を借りたいという需要は生まれなかった」と話す。

異次元緩和の10年間については、明治安田総合研究所の小玉祐一氏も、

「低金利下でも投資が伸びず、経済全体の生産性が高まらなかったため、企業の収益や人々の賃金が上がらなかった」と総括。

一方で、超低金利は政府の長年の公的支援と相まって本来なら倒産してもおかしくない「ゾンビ企業」や、

金利を前提に経営する企業を存続させた。

帝国データバンクの調査によると、実質的に経営破綻しているのに金融支援で生き延びた会社を指す「ゾンビ企業」は、

2021年度、推計約18万8000社と、全企業の12.9%を占める。



19年度には14万6000社、割合で9.9%まで下がっていたが、2年連続で上昇という、

政府は利益の上がらない中小企業は淘汰したい方針だが、皮肉な結果となっている。

全国銀行協会の半沢淳一会長(三菱UFJ銀行頭取)は2月16日の会見で、

日銀が昨年12月に10年国債金利の上限を引き上げたことで、

既に「企業向けの中長期の貸し出しに適用される金利が上昇している」と話す。

その日銀総裁候補の植田氏が2月下旬の国会での所信聴取と質疑で強い言葉で懸念を示したのが、

日銀による上場投資信託ETF)の買い入れ。

株価を下支えしてきた一方で、日銀が保有する株は時価総額東証プライム市場の約7%を占めるようになり、

日銀は実質的に「日本株最大の大株主」になっている。

そのため、ETFを売却する際には多くの企業の株価が下落するおそれがある。



ETFの買い入れ策に警鐘を鳴らしてきたニッセイ基礎研究所の井出真吾氏。

黒田東彦総裁は、ETF買い入れについて非を認めることをしてきませんでした。

植田氏は是々非々で考える人だと感じました。明言はしませんが、

『できることなら大量保有したETFを処分したい』といった思いが答弁から感じ取れました」

‘@いまだアベノミクスが成功などと述べている人はもういないだろうと信じたい。

日銀新総裁にも、それを教訓に前に進んで頂きたい。