入管難民法改正「全員帰れと同義」
クルド人ら川口で訴え。
「助けてください」と紙に書いて記者会見したクルドの人たち。
入管難民法の改正を巡り、埼玉県内で暮らすクルド人の家族らが16日、川口市内で記者会見を開き、
入管施設収容を一時的に解かれた「仮放免」の窮状と法改正反対を訴えた。
日本に避難したクルド人は難民認定されないため働くことができず、健康保険もない。
県外移動も許可が必要だ。改正案は、難民認定申請が2回却下されると強制送還が可能になることなどを盛り込み、
当事者や支援者は「法改正をやめて」「家族の命を助けて」と悲痛な声を上げた。
県内のクルド人は川口、蕨市内に集中し約2千人と推計される。
日本政府の難民認定を受けたクルド人は2022年8月に1件あったのみ。
入管収容や仮放免の措置は入管の判断に委ねられ、日弁連や国際社会から「人権問題だ」との批判を浴びている。
クルド人の男子大学生は2歳の頃、父母と来日し、日本で育った。
「大学では友人にも恵まれたが、バイトに誘われても『家の都合でできない』と断っている」と肩を落とす。
「私はトルコ語やクルド語を話せない。『今すぐトルコへ行って暮らしなさい』と言われても無理だ。
この法改正が成立したら、私の人生はめちゃくちゃになる」
中年男性は「働いてはいけないという。生活をどうすればいいのか。
トルコから日本以外のほかの国へ逃げた友人たちは難民と認められ、政府の支援で生活している。
日本では生まれた子が仮放免になる。おかしい」と訴え、
別の男性は「長く日本にいるクルド人はほとんどが難民認定を2回以上申請している。法改正は全員に帰れと言っているのと同じだ」と話した。
(入管法改正を推し進める斎藤健法相)
クルド難民弁護団事務局長の大橋毅弁護士(61)は、
「現行法では難民認定を申請中の人は強制送還できない。これはクルドの人々にとっては最後のセーフティーネットだ」と指摘。
改正案では2回不認定になると強制送還が可能になり、在留資格のある人も資格を失う場合もあるとし、
「法改正をストップできるのは日本の市民の世論しかない。問題を放置することは、クルドの人たちを見殺しにすることだ」と訴えた。
‘@入管難民法改正案について、国連人権理事会の特別報告者らが「国際人権基準を満たしていない」として、
抜本的な見直しを求める共同書簡を日本政府に送ったが政府は無視。
政府は難民に関しては後ろ向きの姿勢だ。