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マイナカードと竹中平蔵



竹中平蔵氏がかねてデジタル政策を推進し、かつて総務大臣副大臣と上司―部下の関係にあった菅義偉総理(当時)にもデジタル庁設立をアドバイスしたのは知られた話。

竹中氏自身、ここ10年で政府の「産業競争力会議」「未来投資会議」「成長戦略会議」のメンバーを歴任。

岸田政権においても「デジタル田園都市国家構想実現会議」の構成員の一人であるが、これらは皆、マイナ政策を推進してきた会議体なのである。

一方で、竹中氏は昨年8月に退任するまでの14年間、大手人材派遣会社「パソナグループ」の取締役会長の座に就いていたのもまた知られた事実。

パソナのHPを見ると、事業のひとつに「官公庁・自治体向け業務委託サービス」を挙げ、

マイナンバーカード交付業務をはじめ、多数の受託実績を有しております〉と記している。

要は、自治体がマイナ事業に取り組む際、人手不足を補うために外部に委託する「コールセンター」や「通知カード返戻対応」「個人番号カード交付通知書発送」などの業務を受注しているのだ。



「当市には六つの区役所と市民センターが一つありますが、その窓口業務の一部をパソナに委託しています」

と話すのは、千葉市の区政推進課。

「現在20人の派遣を受けています。業務の内容は申請サポートや必要書類の確認など。最初の契約は一昨年で、以来3年間で計2億4千万円を支払っています」

これは千葉市1市での額である。もちろん受託しているのは同市だけでないだろうから、やはり川上で政策を進めながら、

同時に川下で関連事業を自らの関係先が受注する、竹中氏の振る舞いは「我田引水」と言われても仕方ないのだ。

経済ジャーナリストの荻原博子氏は、

「医師の皆さんが怒っているのは、このまま突き進めば医療崩壊を招きかねないこと。保険証の無資格者が続出し、国民皆保険は、その存立を揺るがしかねない事態に陥ると思います」

マイナ保険証に一本化されれば、単純計算で3640×16×18。100万件を超えるトラブルが予想されるというのだ。

かくして、デメリットばかりが目立つ“マイナス事業”へと変質した一連のマイナ事業。

週刊新潮」2023年7月6日号 より