JR東海はリニア中央新幹線の浮上や移動に必要な超電導磁石で、
液体ヘリウムを使わない「高温超電導磁石」を実用段階に近づけた。
営業線に使用できるという評価を国土交通省から受けた。
全量を輸入に依存する液体ヘリウムを使う従来型磁石では安定運行への影響が懸念されていた。
同社は検査周期となる1年間分に相当する距離を試験走行し、営業線への搭載を目指す。
ヘリウムの価格も高騰しており、足元では22年より2割高い1キログラム当たり約1万4000円で推移する。
高温超電導磁石を使えば、ヘリウムの調達リスクを回避できることになる。
構造が簡素になる利点もある。ヘリウムのタンクや複雑な配管が不要となり、製作コストの低減を期待できる。
「検査周期ごとに発生する液体ヘリウム関係作業が不要になる点で省メンテナンスとなる」(JR東海)というメリットも大きい。
さらに、電力消費量の削減効果も期待できる。高温超電導磁石によって「電力消費を1割程度削減できるのではないか」とみている。
同社は検査周期となる1年間に相当する距離を走らせ、運用の安定性を検証した上で営業線への搭載を判断するとしている。