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​トランプ推奨の抗マラリア薬、服用で1万7000人死亡。

トランプ前米大統領は2020年春、新型コロナ感染症の予防と治療で抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」の使用を『推奨』した。

効果も安全性も証明されていなかったにもかかわらず、繰り返し服用を米国民に勧めた。

食品医薬品局(FDA)や疾病対策センター(CDC)をはじめとする米政府の公衆衛生当局の見解とは、まったく相いれない主張だった。



査読医学誌「Biomedicine & Pharmacotherapy」の最新号に発表された研究によると、

米国など6カ国で、ヒドロキシクロロキンの服用に関連した新型コロナ患者の死亡例が推定で計1万7000人近くにのぼることがわかった。

ヒドロキシクロロキンは、新型コロナのパンデミックの第1波が起きた時に「臨床上の有用性を示す証拠がないにもかかわらず」、一部の医師によって患者に処方された。

今回の研究では、米国、フランス、ベルギー、イタリア、スペイン、トルコで、新型コロナの入院患者計1万6990人が、ヒドロキシクロロキンを服用した結果死亡したと推定。

この薬は新型コロナ患者の死亡率を11%高めていた。新型コロナ患者での有害性は心臓への重篤な副作用などに起因するという。

トランプ氏は2020年4月、新型コロナ対策には漂白剤などの消毒剤が役に立つのではないかとの考えを示唆した。

米中毒対策センターによれば、米国内では同年春、漂白剤など家庭用洗剤の摂取による中毒事故が前年の2倍に急増。



トランプ氏が医学的に根拠のない主張を繰り返したのは大いに問題だ。

疾病対策に関する政府の勧告や助言は厳しく管理されるべきだし、必要な専門知識がある者だけが行うようにすべきだ。
証明されていない治療法や危険な物質を米国民に喧伝すべきではなかった。

この話の教訓は、医学的な専門知識のない大統領が公衆衛生当局の見解に従わない場合、厄介な事態が予想されるということだ。

自分が誰よりも目立とうとする大統領の場合は、とくに懸念される。

Joshua Cohen | Contributor

抜粋・編集