コロナ対策、吉村知事に振り回される大阪。
大阪府の新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。
吉村洋文知事は12日、3度目の緊急事態宣言を要請する可能性に言及。
これまで、歯に衣着せぬ発言と新型コロナ対応に先んじたとされたスピード感が、
注目を集めてきたが、経済優先と感染症対策の「規制」と「緩和」を繰り返す、
目まぐるしい方針転換に、府民を翻弄されている。
昨春の緊急事態宣言初適用から1年余り。
大阪府は13日、過去最多の1099人が新型コロナウイルスに感染し、感染者8人が死亡した。
吉村知事は昨年3月19日夕方のテレビ番組で、
突如「明日からの3連休、大阪と兵庫の間では不要不急の往来を控えてほしい」と呼び掛けた。
府幹部も事前に知らされておらず、大慌てで調整を始めた。
兵庫県知事も寝耳に水で戸惑っていた。
3月30日には、感染経路不明者の割合が急増したことから、
「国はもう緊急事態宣言を出すべきだ」とぶち上げた。
安倍政権は4月7日に東京や大阪など7都府県に宣言を発令。
すると「大阪府はコロナ対策に全精力を注ぐ」とし、14日から特別措置法に基づく、
民間施設の休業・時短営業要請を始めた。
対策が軌道に乗ると、手を引くのも早い。
感染者が減少傾向に入るやいなや、「出口戦略が必要だ。国が示さないので、大阪モデルを決定する」と表明。
独自基準を策定し、5月16日に要請を緩和した。
政府の宣言解除よりも約1週間早い対応で、一歩先を行く判断と評価された。
6月中旬からは府内のホテル利用客に宿泊代金の一部を還元するキャンペーンをスタートさせた。
7月には、大阪市の繁華街・道頓堀で開かれた飲食業界のPRイベントに参加。
マスクを外して串カツをほおばり、松井一郎大阪市長との軽妙な掛け合いで笑いを誘った。
しかし、その直後に、感染「第2波」が襲う。
6月後半から、いわゆる「夜の街」関連のクラスターが相次いで発生。
7月に入ると吉村知事も一転して「感染リスクの高い店の利用は避けてほしい」と危機感を強調。
8月6日から20日までの約2週間は大阪市内のうち道頓堀を含む「ミナミ」地区に限って、
飲食店に再び時短営業を要請した。
ミナミ地区の時短営業要請が解除された8月21日、吉村知事は、
「事業者のご協力に感謝したい。強力な飲食店支援を大阪市と協力して実施する」と述べ、
9月18日から府内の飲食店を少人数で利用する客に対し、
1回2千円分のポイント還元を始め、ミナミ地区では大阪市の負担でさらに2千円分を上乗せした。
政府のGoToイートキャンペーンもスタートする。
特に大阪では客単価の安い店で両方を活用し、グルメサイトが独自に発行するポイントも加えれば、
ほぼタダで飲み食いができるという大盤振る舞いだったため、
他府県からも聞きつけた観光客が押し寄せた。
府内の感染者は10月下旬からまた増加に転じ、吉村知事は再度警戒スタンスに切り替えた。
11月10日には「まさに『第3波』に入っている」と宣言し、府は同月27日から三たび、
飲食店への時短営業要請に踏み切った。
年末年始の新規感染者数は1日当たり300人程度の横ばいで推移していたため、
1月4日、新年最初吉村知事は「感染の急拡大はなんとか抑えられている。
今の段階で緊急事態宣言を要請するつもりはない」と断言。
しかし、その翌日から状況は急変。新規感染者数が5日は394人、6日560人、
7日607人と跳ね上がり、吉村知事は7日の取材で「宣言を要請すべきという考え方だ」と、
スッパリ見解を翻した。
9日には京都府、兵庫県と合同で政府に宣言の再発令を要請した。
宣言再発令から18日後の2月1日に「緊急事態宣言というのは短期に集中してやるべきだ。
だらだら続けるものじゃない」と主張。
政府に宣言の解除を要請するための新たな独自基準をまとめ上げた。
吉村知事は前のめりで解除しようとしたが、感染症対策の専門家や医療関係者が強く反発。
吉村知事は仕方なく1週間延ばして23日に解除した。
政府は病床使用率が改善したことを確認した上で、3月1日に3府県に対する宣言を解除した。
しかし、その後、また感染が拡大。
3月28日夜、吉村知事は西村康稔経済再生担当相に、
「今後さらに感染者が増える。まん延防止等重点措置をお願いしたい」と連絡を入れた。
4月5日から全国初となる重点措置が宮城、大阪、兵庫の3府県に適用され、
大阪では約1カ月ぶりに時短営業の要請が府内全域に拡大された。
府内の新規感染者数は東京をしのぐ状況が続き、13日には初めて1000人を超えた。
重症者向けのベッドは既にほぼ満床で医療崩壊している。
吉村知事は、早く動いて、スピード感、やった感を出そうとしたが、感染症は慎重でなくてはいけない。
変異株の脅威も指摘されていたので言い訳は効かない。
大阪は感染抑えすぎたから変異株が急拡大したと、愚にも付かないことを平気で述べているが、
政府分科会の尾身会長が、私と同様の見解を示した。
「大阪も変異株の影響は多少ある可能性は否定できませんが、私は急激な拡大の主たる原因は、
今のところ大阪は変異株ではなく人々の行動だと思います」との見解を示した。
大阪の現場は既に医療崩壊の状況で、経済がどうとか言っている場合ではなくなっている。
結局、同じことを繰り返して、どんどん悪化していることに気付いていない。
他の自治体の首長は他山の石として対策をすべきだ。
感染症対策は、初動は逸早く、解除の時は慎重にが王道。
がんばれ大阪!