大阪・吉村知事TV出演は4月ここまで10本超え!吉本芸人顔負けの“行脚”まるで効果なし。
「食事中に着けたり外したりすると、ウイルスに触れる可能性がある」(久元喜造・神戸市長)など、
否定的な首長もいるが、マスク会食を政令で義務化すべきとの見解を表明した吉村知事をはじめ、
大半はマスク会食を支持する。
一連の議論を聞いて、私は暗澹たる気持ちになる。
ムードに流され、科学的な合理性が皆無だからだ。
新型コロナは唾液の飛沫によって周囲に感染する。
会食参加者がマスクを装着することで、感染のリスクを減らすことができるかもしれない。
しかしながら、感染者が会食中に度々マスクに触り、その手でテーブルやドアノブに触れれば、
感染を拡散するリスクもある。両者はトレードオフの関係だ。
このような問題が生じたとき、医学界では臨床試験で検証する。
私が知る限り、マスク会食の効能を評価した臨床試験は報告されていない。
では、現時点で得られる情報から、マスク会食の是非はどう考えるべきだろうか。私は推奨しない。
感染を拡大させるリスクが大きく、客席間の距離をあけ、
換気効率を高めるだけにしておいた方が無難だ。
病院でマスクを使用するのは感染者の治療にあたる医療従事者を感染から守るためだ。
その効果についての研究は多数報告されている。
しかしながら、感染者がマスクを装着し、度々マスクに触れることは想定外だ。
その危険性については十分に研究されていない。
参考になるとすれば、手術の際に外科医が装着するマスクの汚染だ。
手術中は2時間に1度はマスクを交換すべきと推奨している。
外科医をコロナ感染者に置き換えれば、マスク会食がどれほど危険かご理解いただけるだろう。
私は血液内科医で、骨髄移植に従事してきた。
無菌室に入るときにはマスクを装着するが、院内感染対策を専門とする先輩医師からは、
「患者さんの部屋に入れば、絶対にマスクを触るな」と指導された。
私は、この教えを守り、後輩にも伝えてきた。これが医療界の常識だろう。
コロナの専門家たちが、マスク会食に誰も反対しないのが不思議でならない。
日本のコロナ対策の迷走を象徴する存在である。
(上昌広/医療ガバナンス研究所 理事長)