東京都立川市の「立川相互病院」が、2、3階の窓に張り紙を掲げ、
東京オリンピック・パラリンピックの開催に抗議する意思を示している。
、SNS上で話題になっている。「最寄りの病院の叫び」としてツイッターに投稿された
この張り紙はSNS上で話題となり、6日現在で6万件以上リツイートされ、
20万件以上の「いいね」がついている。
高橋雅哉院長が毎日新聞の取材に対し6日夜、文書で回答し、
病院の置かれた窮状や開催への疑問を訴えた。
文書によると、同病院は2020年4月から新型コロナの患者を受け入れ、
今年4月までに242人の患者を受け入れた。五つある一般病棟(各47床)のうち一つを改修し、
ICU(集中治療棟)、HCU(準集中治療棟)のうち3床を新型コロナ重症者用に使っている。
しかし大阪府などの感染拡大の状況を見て、
7日からHCUの全16床を重症~中等症のベッドに転用することを決めた。
本来HCUで治療すべき患者を一般病棟で管理することになるため、
「危険回避のための看護スタッフの負担は限界を超える」と指摘。
このため、新型コロナ以外の患者に対応できるベッドが199床と大幅に減ったという。
新型コロナの治療のために一般診療が圧迫される状況は20年から続いており、
救急車の応需率も20年1~3月期の80%から、21年1~3月期は55%と激減したという。
看護師の中途入職も少なく、「各病棟ともギリギリの人員配置になっている。
疲労のために退職者が出れば、将棋倒し的に医療崩壊につながりかねない」と、
病院の窮状を訴えている。
東京五輪・パラリンピックの開催でさらなる感染拡大が懸念される中、
「更に突然の看護師や医師の派遣要請、患者受け入れ病院の指定などを報道で知り、
病院としてメッセージを表明する必要を感じた」とした。
最後に「選手の方たちの努力の積み重ねや関係者の開催に向けたご尽力を考えると、
非常に心苦しく思う。しかし、現実的に、感染拡大の可能性のあるオリンピックの開催には、
反対せざるを得ない」と訴えた。