重症者病棟の指揮を執る藤谷茂樹医師。
五輪1週間前と五輪開催後の重症病棟の状況は全く違ってるんですね。
東京オリンピックが開幕した時期から状況は一変した。
今月15日、聖マリアンナ医科大学病院の新型コロナ重症者病棟。
救急搬送されてきたのは、基礎疾患のない20代の男性。
運び込まれた時点で意識はなく、すでに、血液の酸素飽和度は60%台にまで落ちていた。
この60という数字はすぐに人工呼吸器が必要になる極めて危険な状態。
ただちに、人工心肺装置・ECMO(エクモ)を装着することに。
この病院で、20代にECMOを使ったのはこれが初めて。
「医療崩壊」も現実味を帯びてきている。
8月上旬、ついに重症者病棟の17床のベッドは満床に。
これまで「断らない医療」を信条にしてきた藤谷医師たちは初めて、
重症患者の受け入れを諦めざるをえなくなった。
急きょ、交通事故や脳卒中の患者などを受け入れる集中治療室を、
新型コロナの重症者向けに造り替え、7床増やすことにした。
しかし、3床分増設したその矢先、すぐに新しい患者で埋まってしまった。
「(ベッドが)空いたところに30分ぐらいで、すぐまたという情報が入ってくる。
非常に厳しいというか、崩壊してしまっている」
患者の急増で、これまで大切にしてきた取り組みにも影響が出ている。
感染防止のため病室に入れない家族が、タブレットを使って会話できるようにしている。
患者と家族 最期の別れ、さらに、感染対策などを徹底させて、
家族が患者と同じ部屋で最期のお別れをできるようにしていた。
コロナ禍であっても、人間の尊厳をできるかぎり守りたいと続けてきた。
しかし患者の急増で中断せざるをえない状況に追い込まれた。
苦渋の選択 “回復の見込みが低い患者は他の病院に”
今月17日、病院では一般病棟を縮小してさらにコロナ重症患者向けのベッドを作り、合計32床に。
スタッフはほかの科やOBからかき集めて確保した。
その分、交通事故や脳卒中などの緊急の一般診療には制限をかけざるをえない。
しかし、これ以上の拡張は難しい。
救える命を救うためには、回復の見込みの低い患者を、
他の病院に転院してもらうことまで検討せざるをえないのではないか。
藤谷医師「非常に苦渋の決断を迫られています」
藤谷医師「ぼくたちは助けられる重症患者さんを集中治療して助けるという、
完全に役割分担をしていかないと、耐えきれなくなってき始めています」
”現在、重症者病棟に運ばれる患者のほとんどが20代から50代で、すべてワクチンの未接種者です。
ワクチン接種により確実に重症化は抑えられていることは、臨床現場にいると明白です。
特に若年者でも重症化する可能性のある変異株に対して、
ワクチンの接種はスピード感をもって促進させることが必要だと思います。
政府は十分にワクチンの供給体制を整え、計画性を持って接種を進めていくべきです。
医師・看護師だけではなく、救急救命士、薬剤師などもっと積極的に人員を確保できるようにして、
ワクチン接種を早急にすすめるべきだと思います。
特に若い人の中には接種をためらう人もいますが、実際の臨床現場の様子を見ていただき、
接種ができる人は接種をしていただきたいと思います。
デルタ株の脅威を前に、医療機関が“崩壊”の瀬戸際にある理由は、
自宅療養や中等症の患者が適切な医療を適切な時期に受けることができず、
その間に重症化して、重症者用ベッドが埋まってしまうことが関連しています。
まずは自宅療養や中等症の患者のために、体育館や仮設テントなど大規模療養施設を準備して、
早期に医療が介入できるようにし、たらい回しや治療の遅延が起こらないような体制を整えるべきだと思います。
至急、こうした軽症・中等症の人たちに適切な治療を提供しないと、
重症化しても治療が受けられない状態になります。(なっています)
感染爆発が起き、“医療崩壊”に直面したヨーロッパやインドなどのような凄惨な光景が、
この日本にも目前に迫ってくるのではと、強い危機感を私は持っています。
政府からの危機感が乏しい。
パラリンピックの歓迎会を開き、ブルーインパレスを飛ばす。
子供たちをパラに招待。
医療従事者と政府や都との危機感の乖離は大きい。
政府や都の危機感は口だけで、ズレてるとしか思えない。