火星は着陸が難しいことで知られている。
これまでに旧ソ連や欧州宇宙機関なども挑んだが、ことごとく失敗してきた。
日本も、火星軌道への投入を目指した探査機「のぞみ」が失敗に終わっている。
火星は月よりはるかに遠く、通信に片道10分以上かかるため、
トラブルが起きても地球からの対応は間に合わない。
2月に探査機を着陸させた米航空宇宙局(NASA)は、
大気圏突入から着陸までを「恐怖の7分間」と表現した。
そんな火星に中国は今回、火星を回る軌道に探査機を投入し、火星に着陸させ、
さらに今後、探査車で地表を走らせるという三つのミッションに挑んだ。
火星には大気があるものの、地球の1%ほどと薄いため、パラシュートだけでは十分な減速ができない。
重力も地球の3分の1とはいえ、月の2倍にあたり、減速に大きなエネルギーがいる。
ロケット噴射を併用した困難な減速方法をとる必要がある。
大気圏に突入し、パラシュートを開き、地表近くでロケット噴射をする。
これらのタイミングを一つでも間違えれば探査機は地表に激突してしまう。
火星着陸に成功したのはソ連と米国に続く3カ国目。
JAXAの的川泰宣名誉教授は、
「政府が総力をあげて取り組んだのだろう。技術は非常に高いレベルにあると言える。
先行した米国やロシアの情報を手に入れてもいるだろうが、
三つのミッションを同時に行うのは、従来の計画の立て方から考えると常識外れ。
たいしたもんだ」と称賛した。
‘@政府が総力を挙げて取り組むのは当たり前のことだが、
「先行した米国やロシアの情報を手に入れてもいるだろう」との見解は、
ハッキングやスパイのことを示唆しているのか。
いずれにしろ、日本は中国からさらに置いて行かれることとなる。