「自分の命は自分で守るしかないと思った」
最初に感染が判明したのは夫。7月末に発熱し、検査で陽性反応が出た。
基礎疾患はあったが、保健所の電話での聞き取りで軽症と判断されてホテル療養に。
夫がホテルに移った翌日に20代の娘が発症し、数日後の検査で妻も陽性になった。
娘は夫と同じホテルに入り、妻は飼い犬の世話のため自宅療養を選んだ。
夫は夜中に40度の発熱が続くなどしたため、ホテルに常駐する看護師に相談。
オンライン診療を受ける必要があると判断された。
療養者をサポートする神奈川県の専用ダイヤルに電話したところ、
「折り返します」と言われたが、折り返しはなかった。
仕方なくネットで市販薬を注文。
妻は発症10日目くらいに熱が39度台に。解熱剤は効かず、血中酸素飽和度は94%まで低下した。
「息ができないのがつらかった。死ぬかも、と思った」と振り返る。
ホテル療養を終えていた夫が緊急時の連絡先とされる県の「コロナ119番」に連絡。
しかし、返事は「折り返せるか分からない」と、つれない返答。
夫は「119番をうたっているのに。感染者のバックアップ態勢はないんだなと心細くなった」と憤る。
地元の病院で診察を受けると、エックス線で肺の下部に影があり、中等症1くらいだろうと診断された。
しかし、保健所かコロナ119番を通さないと薬を処方できないと言われ、自宅に戻るしかなかった。
この日、妻が地元医師会と看護師による療養サポートの対象になり、
夜に医師の往診を受けることができ、妻は「命がつながった」と、当時の恐怖を語った。
その場でステロイドを処方され、翌日から熱が下がった。
妻の症状が悪化したのは、通常の療養期間が終わる発症10日目ごろ。
しかし県から療養期間を延長するかどうか連絡はなく、自宅療養者用の配食は途絶えた。
夫が県に問い合わせても「分からない」、保健所には「県に聞いて」と、たらい回しにされた。
妻は「知らない間にケアが打ち切られるのか」と、驚きを隠さない。
妻はLINEで「息苦しい」と回答した日、電話がかかってきたが、
息苦しさのためせき込みながら答えると「聞き取りできませんでした」とAI。
その後も、人による確認の電話はなかった。
埼玉県では、AI対応でも、放ったらかしにされ、その後部屋で倒れて死んでいるのが発見された。
夫は「県は療養者の症状を毎日把握しているとするが、連絡しても折り返しが来ない状況では、
自宅などで療養中に亡くなるのは亡くなるべくして、だと思う。
ひとり暮らしだと本当に不安になるのでは」と、県の対応の不手際と、危機感をあらわにした。
‘@自治体の首長は口ばかりで、自宅待機者は見殺しにされている。