「山口3区」で、参議院議員だった林芳正(60)・元文部科学大臣が鞍替え出馬を表明。
現職は二階派の重鎮で31年間議員を務めた河村建夫・元官房長官。
衆院選での二人の戦いは一つの見ものだった。
以前にも報告したが、岸田政権が誕生し、二階俊博氏が幹事長を退いたことで、風は林氏に。
岸田派である林氏の立場が強まり、河村氏は向かい風にと報じたが、なんと河村氏は18日に引退を表明。
会見で河村氏は不出馬を決めた理由として「保守同士の争いは避けてほしいとの要請があった」と説明。
林氏の健闘にエールを送った。林氏との公認争いに敗れたのだ。
河村氏が引退を勧告された裏に、長男の河村建一氏の比例単独擁立見返りがあるとされる。
河村氏はそれを呑んだという。
しかし、建一氏の比例公認について、自民党山口県連会長の岸信夫氏が強く抗議した。
「この方(建一氏)は、山口県連とは何ら関わりのない候補であることを確認させていただきます。
当県連といたしましては、比例代表中国ブロックでは、
既に、現職の杉田水脈氏を第一次公認候補としてご決定いただいており、
本候補の名簿上位掲載にご配慮をいただきますよう、強くお願い申し上げます」
これによって、建一氏は「比例中国ブロック」での公認と発表されていたが、
急転直下で「比例北関東ブロック」の比例単独候補として押し出され、2番目の位置に入ることになった。
強く求めたのは、元防衛大臣を務める岸信夫・山口県連会長で、安倍元総理の弟。
党本部の遠藤利明・選挙対策委員長も森元総理と仲が良く、安倍元総理とも気心の知れた仲。
安倍元総理の力が強く働いていることが伺える。
杉田水脈氏は、数々の差別発言で騒動を巻き起こしてきた。
「LGBTのカップルは子供を作らない、つまり『生産性』がない」
掲載した『新潮45』は反論を特集したが、それがまた批判を呼んで遂に休刊に追い込まれた。
この発言には国内外から抗議が殺到し、自民党本部前では抗議のデモが行われた。
しかし、安倍元総理が守った。
杉田氏は兵庫県の出身で日本維新の会から立候補し比例代表近畿ブロックで初当選。
次の選挙(2014年)で落選した後は慰安婦問題などで保守的な活動を展開。
これが安倍総理(当時)の目に留まり、自民党からの立候補につながったとされる。
安倍総理が自ら引き取って山口県連に所属させた。
だから、杉田氏はやりたい放題でもお咎めなし。
中国地方は『保守王国』で、ほとんどの小選挙区で自民党候補が当選。
杉田氏は前回の選挙では中国ブロックで比例名簿「17位」。
それより上位の16人は全員小選挙区との重複立候補
比例復活は1人だけで、杉田氏はその次の順位で当選しており、
比例単独では事実上の『トップ』ということになる。
安倍元総理は、自分が直接言えないことを杉田氏に発言させて引っ掻き回し、
ことを有利に進めようとする算段だ。
一寸先は闇、政治は面白い。