自民党の安倍議員と菅議員が公的な場で良好な関係をアピールする場面が増えている。
両氏は第2次安倍政権の首相と官房長官として強固な信頼関係を築いていた。
参院選を前に2人が再び接近するのは、求心力を強化する狙いがある。
当時、菅総理が自民党総裁選に出馬を見送ったとき、
「菅総理は総裁選で安倍氏の支援を取り付けられるか自信が持てず、不信感を抱いているように見えた」
と関係者は語る。
結局、菅氏は総裁選で安倍議員と距離がある河野太郎党広報本部長を支持。
河野氏の陣営に安倍議員と対立してきた石破茂議員が加わったことで、
「安倍氏と菅氏はたもとを分かった」との見方が広がった。
昨年末には安倍と麻生太郎、茂木敏充幹事長が会食したほぼ同時間に、
菅議員と森山裕前国対委員長、石破議員らが別の宴席を開いたことも、
安倍議員と菅議員の関係悪化の臆測に拍車をかけた。
しかし、ここに来て、思った以上に岸田総理の人気が高く、このまま維持されれば、
自分たちの存在感が薄くなり、派閥にも影響してくる。
安倍議員は、ことあるごとに岸田政権の足を引っ張るような発言や、
岸田政権を批判するような発言を繰り返している。
二人がいきなり仲良し感を公にアピールし出したのは、
岸田派(宏池会、44人)を源流とする麻生派(志公会、53人)と岸田派、
谷垣グループ(有隣会、約30人)が再結集する「大宏池会構想」への牽制だ。
再結集が実現すれば、党内最大派閥の安倍派(清和政策研究会、94人)を超える勢力になる。
無派閥の菅氏も党内で埋没すれば、存在感が無くなり影響力が薄くなる。
両氏の連携は、党内の政局に警報を放つ一声だ。
自民党の谷垣禎一元総裁が特別顧問を務める谷垣グループ(有隣会)は1月27日昼、
メンバーが集まる定例会合を従来の水曜から木曜に変更して開いた。
自民党の派閥は毎週同じ時間帯に会合を開くため、開催曜日の移動は、
掛け持ちを原則認めない「派閥化」を視野に入れた動きとみられる。
「何としても参院選を勝ち抜いて、岸田文雄政権を有隣会としてしっかり支えていきたい」
グループで代表世話人を務める遠藤利明選対委員長はオンラインで会合に参加し、こうあいさつした。
会合には26人の会員中、14人が出席。
少ない気もするが、もう一人の代表世話人である中谷元・首相補佐官は、
「これだけ集まってよかった」と笑顔を見せた。
開催曜日を変えたことで、参加できないメンバーが浮かび上がった。今後どうするのか。
「大宏池会」構想が実現すれば所属議員は100人規模の党内最大勢力となる。
しかし性急かつ大規模な動きには慎重派も多く、グループには「中宏池会」の実現を求める声もある。
遠藤委員長は一連の合流話を否定するが、派閥化を視野に入れた今回の動きには、目が離せない。