自民党は「統一教会から大きな力を頂いている」
「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”と国会議員との関わりが、与野党問わず浮上。
自民党の山本朋広元防衛副大臣は5年前に教団のイベントに出席した際、
教団トップの韓鶴子総裁を「マザームーン」と称え、自民党は教団から「大きな力を頂いている」と発言。
山本朋広元防衛副大臣。
「本日は母の日ということで、私も皆様より一足お先にマザームーン(韓鶴子総裁)に、
カーネーションの花束をプレゼントさせていただきました」
「私の母は私にとっての母でしかありませんが、マザームーンは皆様にとっての母であります。
皆様からマザームーンに対しての感謝の思いが、マザームーンへ伝わる」
「本当に皆様には我々自民党に対し、大変大きなお力をいただいてますこと、
改めて感謝を申し上げたいと思います。
おかげさまで安倍政権も5年目を迎えました。長期安定政権と評価をいただいているところでございます。
皆様には引き続き我々に大きなお力を賜りたいと思います」
元自民党本部情報局国際部主事で、福田赳夫元首相秘書だった中原義正氏はこう話す。
「私が自民党の中野四郎元国土庁長官の事務所で秘書を務めていた1970年代初期、
20代の若い女性が突然、『何か、お手伝いすることはありませんか』と言って、
議員会館の事務所にやって来ました。目がくりっとした愛くるしい容姿の女性でしたね。
女性は『勝共連合の者です。岸信介先生にご指導いただいています』と言っていた。
しばらく、事務所でコピーをしたり、お茶を入れたりする仕事をしていたけど、
給料も出さず、タダで働いていました」
同事務所だけではなく、他の自民党議員の事務所にも、
同様に20代と思しき勝共連合の女性が出入りしていたという。
「当時、安倍晋三氏の祖父・岸信介元首相の渋谷の自宅の隣に旧統一教会の本部がありました。
統一教会にとっては、そこが日本の政界進出の足掛かりでした。
岸元首相の系譜を受け継いだ清和会の国会議員の事務所を中心に、
勝共連合の女性たちが入り込んでいきました。
当時、私は清和会所属の国会議員秘書たちのまとめ役をしていたから、
他の議員事務所からも、『うちの事務所にも来た』という話をよく聞きましたよ」
大臣経験のある自民党衆院議員(中曽根派)の元秘書はこう話す。
「うちの事務所には、いつの間にか『世界日報』が毎日届けられていました。
事務所で購読していたわけではないのに、ずっと入っていた。
ほかの議員の事務所にも『世界日報』が入っていましたよ。
そして、選挙になると、頼んでもいないのに旧統一教会系の団体の見たこともない人たちが応援に来ていました。
黙々と選挙の支援をしてくれていたが、誰に聞いても、どこから来たのかよくわからなかったんですよね」
政界ばかりではない。大学も“美女軍団”の標的になっているという。
ジャーナリストの鈴木エイト氏はこう語る。
「東大の学生を旧統一教会に引き込むためにキャンパスに“美女”を送って、仕込んだという話は、
元信者から実際に聞きました。
東大の旧統一教会系の学習サークルに容姿がきれいな女性信者を使って誘い、
頭がよくて優秀な学生をスカウトする。そうやって優秀な人材を弁護士に育てたりして、
教団の“頭脳”として囲い込む事例もありました」
元東京タイムズ政治部長で、政治評論家の本澤二郎氏もこんなことがあったと明かす。
「岸信介元首相と親しい元大臣のところに知り合いの女性秘書がいたんですが、
ある日、『今度、うちの事務所に入った運転手は勝共連合なのよ』と私にそっと耳打ちしてきたんです。
その運転手は男性でした。
統一教会は70年代にまず岸氏の周辺にいる議員から入り込もうとしていたのではないか。
それから清和会に浸透し、じわじわと自民党全体に広がっていったのだと思います」
勝共連合のスタッフが国会議員事務所にやすやすと入り込めた背景について、
元自民党政調会調査役で政治評論家の田村重信氏はこう指摘する。
「政治家は、誰であろうが選挙で応援してくれる人はありがたいのです。
昔は、ヤクザだって断らない議員もいたくらい。支援者が1人減って、その1票が相手陣営に入ったら、
2票マイナスです。応援を断ったら敵を利するだけですし、組織票は必要だからみんな必死ですよ。
票をもらわないと当選できない政治家の切迫感は想像以上なのです」
だからといって、決して許されるものでは無い。
「2006年に安倍晋三氏が旧統一教会の友好団体である天宙平和連合(UPF)の大会に祝電を打った時以降、
政治家が旧統一教会の関連団体主催の集会に出席したり、祝電やメッセージを送ったりしても、
メディアは報じなくなりました。
それゆえ、政治家と教団の関係性はなかなか表面化せず、問題にもされなくなった。
議員たちも問題化しないから、何回もくり返すようになりました」
逆に旧統一教会や関連団体は、安倍氏に近い議員たちから堂々と祝電をもらったり、
祝辞を受けたりすることで、問題のない団体であるというお墨付きを得た。
メディアも政治家と旧統一教会の関係を問題視して報じる姿勢は一切ありませんでした。
それが今回の銃撃事件を生んだとしたら、政治家もメディアも検証されなければいけないと思います。
鈴木エイト氏は「旧統一教会と関わりを持った現職国会議員」と題した100人を超えるリストを作成し、
メディアに提供した。
9割は自民党議員だったが、野党議員も含まれていた。
‘@分からなかった、知らなかったというのはどう考えても無理がある。
とても長い付き合いなのだから、自民党や永田町では公然のことだった。
そういった意味では、周りは迷惑顔だろうが、率直に認めて開き直った岸大臣は、まだ正直だ。