テスラ超えの大躍進、中国EVメーカー「BYD」
中国汽車工業協会によると、2022年1~6月の中国自動車販売台数は、
前年同期比6.6%減の1205.7万台。
4月以降、上海市をはじめ中国各地で行われた新型コロナ対策のロックダウンによって、
乗用車販売は伸び悩み(同3.4%増の1035.5万台)、
商用車市場の大幅な落ち込み(同6.6%減の152.2万台)も重なった結果、
自動車市場全体で前年割れという結果となった。
一方、昨年(2021年)から急拡大が続く新エネルギー車市場は目を見張る拡大が続いている。
2022年1~6月における販売台数は同115%増の260万台となり、昨年同様に倍増ペースが続く。
中でも、日本乗用車市場への進出を発表した新エネルギー車の老舗メーカー、
比亜迪汽車(以下「BYD」)の躍進ぶりが大きく目立つ。
背景にはロックダウンでサプライチェーンが混乱する中、
重要部品を自社調達する垂直統合の効果が指摘されている。
上半期のセダン車種別販売台数トップテンでは、BYDの「秦」(14.6万台)が4位に、
「漢」(9.1万台)が10位にそれぞれランクイン。
成長率で、「秦」が255.1%増、「漢」が85.7%増を記録。
またBYDが販売するSUV(スポーツタイプ多目的車)の「宋」も同113.3%増の16.2万台を記録し、
テスラモーターズの「モデルY」を上回り上半期SUV販売台数でトップとなっている。
日系ではトヨタ系列の広汽豊田が同19.9%増の50万台と大きく成長。
一方、その他の日系メーカーはいずれも前年割れしており、市場全体の日系シェアも下がっている。
中国メディアによると、深刻な供給不足が続いている自動車半導体について、
BYDは自社での開発、供給を開始する計画であることが報じらた。
経済のグローバル化とともに、自動車業界では、
各部品を外部専門サプライヤーから調達する、水平分業モデルが発展を続けてきた。
水平分業モデルはコストの抑制や主力事業へのリソース集中化といったメリットがある一方、
サプライチェーンの脆さというリスクも存在する。
実際に近年は、コロナ禍や上海ロックダウンなどによって世界中で物流の混乱が起きるなど、
水平分業のリスクが顕在化。
サプライチェーンの混乱ぶりは、垂直統合の価値を見直すべき時期に来ているように見える。
確実な調達を確保するよう、メーカーも自社開発などの対策を選択肢に入れるべきだ。