ロシア国営メディアが異例の軍部批判が続出。
これまで積極的にプロパガンダを流していたロシアのTVで、戦況に対する不満が噴出。
ロシア国営チャンネルやプロパガンダを積極的に伝えていた特派員などから、
従来であれば考えられなかったようなロシア軍への批判が聴かれるようになった。
国営TV局『ロシア1』のトークショーでは、番組司会者のウラジミール・ソロヴィヨフ氏が、
兵站への不満をぶちまけた。
「けれど、我々の兵に何かを届けるのは事実上不可能では。この不満は100回も述べてきた」
氏は補給網に問題があると指摘、前線の兵士に物資を届けるまでに長時間を要していると訴えた。
ウクライナ戦線で重要な役割を占めるドローンについても、
生産数の少なさと輸送網の貧弱さが足かせになっていると氏は嘆く。
「ドンバス地方に何かを持ち込みたいなら、(西部)リヴィウのウクライナ税関を通す方がまだ早い」と皮肉った。
ソロヴィヨフ氏はこれまでプーチン政権のプロパガンダを積極的に担っており、国家批判の発言は異例。
デイリー・メール紙は「プーチンの最も有名な操り人形のひとつ」であるソロヴィヨフ氏が、
軍部を「公然と批判しはじめた」と報じた。
番組内にゲスト出演したロシア国家院(下院)のセミョーン・バグダサロフ議員は、
「国は、戦時中のアプローチに移行する必要がある。馬鹿げた行動はもう十分だ」と、
貧弱な物資補給に怒りを示した。
番組出演者らはさらに、兵士たちが「去年の装備(旧式装備)」で戦地に送り出されているとも述べ、
近代化が遅れているロシア軍の状況を憂慮した。
元ロシア軍大佐のミハイル・キョーダリョノク氏は、「我々には、予備隊がないのだ」と述べ、
兵を総動員しても戦況が大きく好転することはないだろうとの予測を語った。
これまでプロパガンダを積極的に展開してきた戦争特派員のアレクサンドル・スラドコフ氏も、
ウクライナ軍を「卑劣」と批判しながらも、ロシア側は数の優位をまったく生かせていないため、
「ウクライナ軍を押し返すことはできない」と断言。
「ルーティーンであるべき事柄をさも手柄のように語っている」とも述べ、
ロシア軍の指揮官たちは「恥ずべきほど成果を出していない」と痛烈に批判。
軍事評論家のコンスタンティン・シヴコフ氏はTV出演を通じ、
「我々の現行の市場経済は、我々の軍の需要に耐えることができない」との分析を示した。
豪ニュースメディアの『news.com.au』は、こうした一連の批判劇を動画で取り上げ、
「ウラジミール・プーチンのくぐつメディアがついにプーチンに背を向けた」と報じた。
「プーチンのプロパガンダ機関らが、ロシア軍の状況をおおっぴらに批判しはじめた」とし、
軍部への不満が表面化していると指摘。
‘@間違いなく状況は変わりつつあるようだ。
国内のメディアや専門家の政府に対する反発が大きくなれば、再度世論も動き出す可能性がある。
そうなれば、今までプーチンを支持していた国も距離を置くようになる。