サッカーのワールドカップ(W杯)で3位に輝いたクロアチア。
バルカン半島のクロアチア(人口約408万人)が、新年1月1日から欧州単一通貨「ユーロ」を導入する。
クロアチアは同日、欧州域内の出入国手続きを撤廃した「シェンゲン協定」にも参加する。
ユーロの導入と域内の自由往来を同時に実行するのはクロアチアが初めて。
ユーロを法定通貨に採用するのは20カ国目。
クロアチアのプリモラッチ財務相は11月の演説で「ユーロ導入はわが国の経済を強くし、安定をもたらす。
投資環境の改善にもつながる」と説明。
クロアチアでは1月14日まで従来のクロアチア通貨クーナの併用が認められる。
英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)によると、クロアチアでは貿易の半分以上をユーロ圏の国々が占め、
銀行預金の約半分もユーロ建てとされる。このためユーロ導入に伴う混乱は限定的で、
為替変動のリスクがなくなるといった経済上の効果が大きいと期待されている。
クロアチアは旧ユーゴスラビア連邦の構成国で2013年にEUに加盟した。
EU内では東欧諸国やバルト三国が総じて対ロ制裁の強化を求めているのに対し、
西欧や南欧の国々が比較的慎重だとされている。東欧でもハンガリーのオルバン政権はロシア寄りだ。
EUは13年以降、新たな加盟国を受け入れていないが、今年6月にはウクライナとモルドバを、
12月にはボスニア・ヘルツェゴビナを「加盟候補国」に認定している。
ウクライナ侵略を続けるロシアがEUの切り崩しを狙う中、ユーロ圏拡大がEUの結束強化に向けた弾みとなるか。