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「ワクチンうっても感染はします」それでも接種を薦める理由。

※インタビューは12月26日時点の情報に基づいている。【BuzzFeed Japan Medical/岩永直子】

今、一つの病棟で感染者が出たようですが、もう不思議なことではありません。

スタッフもみんな入院患者や職員から陽性者が出ることには慣れてきました。

そう話すのは、藤田医科大病院の副院長で、救急総合内科の岩田充永教授。

流行初期はそんな知らせがあると3日間は寝られませんでしたが、今は「そういうこともあるよね」という感じです。

先日、別地域の医師たちと話したのですが、「みんなで診よう」という感覚がなかなか生まれにくい地域では、

一部の急性期病院に皺寄せが来ているようです。

我々も7波のお盆休みの頃に、救急外来が発熱した患者でパンクして大変なことになったのですが、

逆に言うと、普段開業医の先生たちが発熱患者を診てくれていたことを実感しました。

今年の年末年始もおそらく開業医の先生は休診するので、僕ら大学病院は大変になるから備えようと思っています。

東京や大阪では、そうした地域全体の診療体制をさらに改善してゆくことを求められているのかもしれません。



とはいえ、僕たちも決して余裕があるわけではありません。

僕らは入院患者や重症者が増えたらどうしようという恐怖感よりも、

職員が感染や濃厚接触で出勤できなくなったら回らなくなる、という恐怖感が常にあります。

「感染を許容する」と言うと問題かもしれませんが、どこにいたって感染しておかしくない。

そんな前提で動かなくてはいけないことを医療者以外の方たちにも理解してもらわなければいけません。

同じ部署での忘年会などはまずやりません。医療者の倫理観とか崇高なことではなく、

純粋に同じ部署で忘年会をやって感染者が複数出ると、次の日から診療が回らなくなるからです。

他部署の人同士が少人数で集まるのは許容できたとしても、同じ部署で集まるのはやめてくれと伝えています。

もっと厳しいルールを設けている病院もあると思います。

ワクチンをうっている人の大半は、感染してもいわゆる「風邪」で済みます。

自分の周りにかかったら重症化する人たちがいないかをまず考える。

もしそういう人がいるなら事前に抗原検査キットで検査し、体調が悪かったら会わないようにすることが大事です。

それ以上、過剰に恐れる必要はありません。

国は濃厚接触者でも医療が逼迫すれば出勤してもいいと言っていますが、

そこから院内に感染が広がってもみんな受け入れましょうね、というところまで伝えていません。

何かを緩和したらそこで起きる不都合なことまで責任を持って伝えてほしい。感染者の隔離期間も10日から7日に短縮されました。

でも研究では、8日目、9日目も感染させるリスクは当然、残ります。

国が「短縮によって感染が広がるリスクがありますが、それを認めていきましょう」とまで言ってくれないと、

医療機関としては「国が隔離期間を短縮しかたら、8日目から復帰ね」とは言いにくいです。

僕のところでは10日にしています。職務復帰は11日目から。復帰した医療者から感染を広げたくないからです。

でもそれによって職員の減少は厳しいことになっています。

コロナの流行では、最初は「医療者ありがとう!」と持ち上げられ、増えてきたら「大変ですね」という取材が入り、

波が終わると「Go Toキャンペーン」が始まる。

そして増えてくると「大変ですね」とまた言われる。本当に不思議な3年間を過ごしてきました。

僕は医療は社会生活の一部にすぎないと思っています。

「医療者が大変だから飲食業が我慢しましょう」というのは絶対に間違いです。

もちろん飲み会は人数が少ない方が感染が広がるリスクは少ないし、被害も抑えやすいです。

ただ、僕らが「感染すると人生が終わってしまうかもしれないから外出を控えてください。飲食を控えてください」

と言えたのは、ワクチンが行き渡る前の第4波までです。

その後は重症化する人が減る中で、それでも重症化する人が一部いるため、

自分はどう行動するかという一段難しい判断を一人ひとりが求められています。

今まで、こうやって勉強したら試験に通る、というようなマニュアル的な教育ばかり受けてきた僕らは、

自分のリスクの程度を考えて行動することがすごく苦手です。

これは日本の教育の成果かなとイヤミの一つも言いたくなります。

れにしても、重症化リスクの高い人に自分の身は自分で守れ、と言うのは酷な気がします。

施設の方やそういう人を介護している家族は、世の中が緩和する流れにあっても、ものすごく気を遣っています。

高齢者や医療ケア児の御家族のストレスはむしろ増えていると推察します。

このギャップのなかで僕が医療や救急の立場から言えることは何かと考えると、

早く重症化予防する薬につながってほしいという結論になってしまうのです。



だからといって、飲食業や観光業にこれ以上我慢しろなんてとても言えない。

そういうところのバランスを見ながら判断するのが、本当は政治の役割なんでしょうね。

結局、多数派の人が恩恵を被るように舵を切っているのが現状です。

この流れで行くと、今後は陽性になっても隔離期間を設けなくなるのかもしれません。

そうなった時に、感染が広がることは織り込み済みでしょう。

だから、重症化を防ぐことができない人は、せめて早く検査して重症化を予防して御自身の身を守ってほしいと心から呼びかけたいのです。

高齢者はインフルエンザの流行時もこうしたリスクに晒されてきたことを考えるならば、コロナでそうなった時に、

自分の人生はどうあるべきなのかを考えなければならないかもしれません。

街角でマスクをしていない人を責められないのと同じです。そういうことで人間関係がギスギスしている話はよく聞きます。

これまで、毎年、医療従事者の中では、「インフルエンザの抗原検査キットで検査するのは意味がない」とか、

タミフルを飲んでも症状を1日短くするだけだから意味がない」と言う主張も多くありました。

インフルエンザにかかったと思ったら、解熱後2日までは家にいて、わざわざ病院に診断を求めにくる必要はないと言ってきたのです。

コロナもだんだんそれに近づいてきているのを感じます。

むしろ今は、「元気な人は診断を受けるために医療機関に来ないで、自分たちで検査して療養してください」という発信が増えています。

比較的若い、50代とかでワクチンを一度もうっていない人が、昔のような重症肺炎になり、ECMOを検討する状態になったりしています。

ワクチンは重症化予防のために接種するものです。ワクチンをうっても感染はしますが、

重症者が減っているのは明らかにワクチンの恩恵と体感しています。うった方がいいと思います。

僕らは予定入院時のPCR検査も11月からやめました(緊急入院での抗原検査は行っています)。

手続きが大変な割に、効果が薄い段階です。

その代わり、スタッフも患者も少しでも風邪症状があったら早めに検査し、そこから感染対策を徹底することにしています。

学会などでこれを話すとざわつきます。それでも出口戦略はどこかで示さなければいけません。

面会は基本禁止にしていますが、療養上、主治医が必要と認めた場合は許可しています。ただし15分以内です。

やはり緩和病棟の方の面会は大切な時間ですし、子どもの患者の付き添いはそれが療養の一環でもあります。

無症状で働いている職員の方がリスクが高いのです。だから症状が出たら早めに検査、に方針を切り替えました。

もちろんそれでも継続するべきだという診療科は診療科の判断でやってもらっています。

でも、そのような病棟でも感染者が発生するリスクは想定しておかなければならないということです。

コロナも段階によって、対策を変えていかなければいけません。それを今、強く感じています。

‘@だが、自宅で放置されている人が亡くなっている。

そして、岩田教授は重症には触れるけれど死者には触れない。

高齢者は感染した死後のことを考えろと提言。

岩田教授も高齢者は亡くなっても仕方ないと考えているようだ。

死亡者の人数が拡大しているのに率が低くなっているから大丈夫というのは納得がいかない。

それはプーチンと同じ考えだ。

兵隊の人数を増やして死亡率は低いと堂々と訴えるプーチン