ゼレンスキー大統領は10日、西側諸国から供与を約束された武器を受け取る必要があるため、
ロシアに対する反攻開始にはまだ時間が必要だと話した。
「すでにあるものでも前進して成功することはできる」と述べる一方で、
「しかしそれでは多くの人命が失われる。それは受け入れられないと思う」として、
「そのため待たなくてはならない。まだ少し、時間が必要だ」と話した。
NATOによる軍事訓練を受けたものを含め、複数の旅団がすでに戦闘開始可能な状態にあるものの、
ウクライナ陸軍はまだ「いくつか」必要としているものがあるとした。
ロシア軍は全長1450キロにわたる前線での、防衛体制を強化している。
前線は東部ルハンスクやドネツクから南部ザポリッジャ、ヘルソンへと至る。
西側諸国がこれまで提供してきた支援を有効活用して、戦場での勝利につなげられるか、ウクライナにとっても重要な局面となる。
ウクライナの領土は現時点で2割近くがロシア支配下にあり、プーチンはウクライナの4州の併合を一方的に宣言している。
「誰にでもいろいろな考えがあるだろうが、領土を明け渡すようウクライナに圧力をかけようとしても無駄だ。
プーチンに自国の領土をあげてしまうなど、そんな国が世界のどこにある」と、ゼレンスキー大統領は強調した。
さらに、西側諸国によるロシアへの制裁がロシアの国防産業に打撃を与えていると指摘。
ミサイル備蓄や砲弾・弾薬の減少を、ロシアが補充しきれずにいると話した。
「(ロシアの)倉庫にはまだたくさん残っているがすでに一部の地区では1日に使う砲弾の数を減らし始めた」との見解を示した。
ただし、ロシア政府は一部の制裁を回避する抜け道を開拓しているとも指摘。
ロシアの制裁回避を助けている当事者への対応を、西側諸国に求めた。
3日にクレムリンをドローン2機で「攻撃」し、プーチンを暗殺しようとしたとロシア政府がウクライナ非難している件については、ゼレンスキー大統領は、
「ドローン攻撃」はおそらくロシアの自作自演の偽旗作戦だろうと述べ、ロシアがウクライナ攻撃の「口実」に利用していると批判。
「(ロシアは)常に自分たちのやることを正当化するものを見つけようとする。『お前たちが我々にああいうことをしたから、我々はお前たちにこうするんだ』という具合だ」
「しかしうまくいかなかった。国内に対してさえ、うまくいかなかった。ロシアのプロパガンダを広める連中さえ、信じなかった。とてもとても、うそくさく見えたからだ」
現時点ではウクライナもロシアも、勝つまで戦うと宣言しているため、和平交渉の現実的な見通しは薄い。
ゼレンスキー大統領は、10項目の和平案を明らかにしており、その中でロシアが占領したすべてのウクライナ領土の返還や、
戦争関連の損害賠償、ロシアによる戦争犯罪を裁くための国際特別法廷の設置などを要求。
これをロシアは、真っ向から拒絶している。
‘@冷静な判断だ。
全力で反攻してうまく行かなかったら大打撃だ。慎重に行くべきだ。
もしかしたらまだ体制が整っていないと見せかける算段かもしれないが。
いずれにしろウクライナの反攻がうまくいったとしても、それで終わる分けではない。