以前に報じたが、スイスのビジネススクール・国際経営開発研究所(IMD)が、
世界64カ国を対象にした2023年の「世界競争力ランキング」を6月20日、発表。
日本は、総合指標で昨年より一つ順位を下げ、過去最低の世界第35位に。
アジア太平洋地域での日本の順位は、14カ国・地域中で第11位。
アジア太平洋地域で日本より下位は、インド、フィリピン、モンゴル。日本の凋落ぶりが目立つ。
日本の危機を野口悠紀雄:一橋大学名誉教授が警告。
以下抜粋。
このニュースはあまり話題になっていない。日本の地位がこのように低いことは、もうニュースバリューがなくなってしまったのだろうか?
1990年代の中頃までは世界でトップを争っていた日本が、なぜここまで凋落したのか。それには明確な理由がある。
1989年の第1回目のランキングでは日本は世界第1位だった。
「政府の政策が適切でないためにビジネスの効率性が低下する。その結果、全体としての競争力が低下する」という状況に、日本が落ち込んでしまっている。
政府の政策が適切でなく、政府が非効率的であることはさまざまな面について指摘される。
ここ数カ月のマイナンバーカードを巡る政府の迷走ぶりを見ていると、いまの日本政府は基本的なことが実行できないことがよく分かる。
デジタル化が経済の効率化のために必要なことは明らかだ。しかし、それを実現するための基本的な制度を日本政府は整備することができないのだ。
政治的な政策判断の問題もある。少子化対策のように効果が疑わしい政策に多額の資金を投入しようとしている。
しかも、そのための財源措置を行なっていない。防衛費も増額はするが、安定した財源の手当てがされていない。
日本政府は迷走しているとしか言いようがない。
そして、このような無責任な政府に対して野党が有効なチェック機能を果たしていない。
民主主義国家で、野党がこれだけ弱いのは世界でも珍しい状況ではないだろうか?
いまの日本では諦めムードが一般化してしまったようだ。しかし、実はこれこそが最も危険なことだ。
なぜなら日本経済の今後を考えると、少子化対策を行なっても、そしてそれが仮に効果を発揮して出生率が上昇したとしても、日本の人口高齢化は間違いなく進行するからだ。
それによって経済の効率性は低下せざるをない。
いまの状況は当たり前のことではなく、何とかして克服しなければならないのだ。
実際、一度は衰退したにもかかわらず、復活した国は、現代世界にも幾らもある。その典型がアイルランドだ。
日本人の基礎的な能力は依然として世界トップクラスなのである。
日本人は、このように高い潜在的能力を持ちながら、それを発揮できない経済・社会環境に置かれてしまっているのだ。
日本が凋落した原因は1990年代の中頃以降に取られた政策の誤りにある。
90年代の中頃以降、政策面で何が起こったかは明らかだ。「円安政策」を進めたのだ。
これによって企業のイノベーション意欲が減退した。企業がイノベーションの努力を怠ったために、日本人が能力を発揮する機会を失ってしまった。これこそが日本経済衰退の基本的なメカニズムだ。
そしてこの状況は政策のいかんによって変えられるものだ。
‘@総じて、私と同じ分析であるこてとは、ブログを読んで頂いている人たちには理解して頂ける。