10日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、
ウクライナ侵攻で制裁を科されたロシアからの供給が止まるとの懸念が後退し、続落。
米国産標準油種WTIは前日比2.68ドル安の1バレル=106.02ドルで引けた。
ロシアのプーチンは、米国によるロシア産原油の輸入禁止に対し、
ロシアはエネルギー供給契約の義務を着実に履行していると述べた。
これを受け、ロシアは現時点で米欧による制裁の報復措置として供給停止は考えていないとの見方が拡大。
需給逼迫への過度の警戒感が和らぎ、売りにつながった。
一部トレーダーの間からは、原油の需給逼迫懸念は行き過ぎという声が聞かれた。
ホワイトハウスのサキ報道官は10日、
記者団に対し「ガソリン価格やエネルギー価格の上昇が予想されるが、
それが一時的であり長くは続かないと確信している」と指摘。
その上で「プーチン大統領およびロシアによるウクライナ侵攻で、
インフレ率が今後数カ月にわたり高くなる可能性があることは間違いない」と述べた。
また、ウクライナ危機と原油価格の高騰に関して、米政府高官が石油会社幹部と協議したと明かした。
具体的な企業名などは不明。
増産しない背景には、サウジアラビアが米国よりもロシアとの協調を重んじていることが関係している。
今のところ実現していない。
バイデン政権はイラン核合意の再建協議に積極的姿勢を示していたが、ロシアのウクライナ侵攻が阻んだ。
合意が成立すれば、日量100万バレル以上のイラン産原油が市場に供給され、
原油価格の押し下げ効果が期待されていた。
だが、合意が近づいていた矢先に軍事衝突が起き、政治的決断を下すのが難しくなっている。


この辺りが、欧州が一枚岩になれない要因が大きい。
欧州が追従しないのは良しとした。
ロイターによれば、米政府高官がベネズエラの首都カラカスを訪問し、マドウロ大統領と会談したという。
そして、バイデン政権最大の誤算は、国内の原油生産が回復しないことだ。
米国の原油生産量は半年近く日量1160万バレル前後で推移しており、
コロナ禍前の最高値(日量1310万バレル)に遠く及んでいない。
生産コストの急上昇や労働力不足が増産の足かせになっていることに加え、
フラッキングで使用する砂(フラックサンド)が、鉱区で不足する事態が起きているという。
その上、開発費用を負担した投資家からの配当要求が高まっており、
シェール企業は増産に向けた取り組みを行うことが難しくなっている。


また、バイデン政権は発足以来、国内の石油開発を抑制する措置を講じてきたことから、
シェール業界では「バイデン政権が増産要請してもこれに応ずるつもりはない」と反発する声も高まっている。
原油価格の高騰、不透明な状況は当面続きそうだ。