WHOが再び危機感を強めているのは、オミクロン型の新たな変異型による感染が、
世界各地で拡大しつつあるからだ。
欧州では、冬場の新型コロナの流行が警戒され始めている。
ドイツでは集中治療室を利用するコロナ重症者が4月以来の水準となっており、
冬場にインフルエンザとの同時流行となれば医療が逼迫しかねない。
このため、政府は飲食店など屋内施設でのマスク着用の再義務化などを検討しているが、
ロシアのウクライナ侵攻後のエネルギー価格高騰に対する政府への不満が高まる中、
厳しい行動規制を伴う対策を採りづらいのが実情だという。
米疾病対策センターによれば、米国では8月半ばの新規感染の9割近くがBA.5だったが、
10月に入るとBA.5の割合は7割以下に下がった。
代わって広がりを見せているのはBA.4に変異が加わったBA.4.6、8月から倍増している。
現在主流のBA.5に変異が加わったBQ.1.1も広がりを見せている。
これらの変異型はBA.5よりも免疫をすり抜ける性質が強く、感染が広がりやすい可能性がある。
試験管レベルの実験ではワクチンの抗体が効きにくく、抗体薬の効果も低下するとされている。
日本でも水際対策の緩和によって海外から新たな変異型が国内に入ってきやすくなってきており、
日本の医療体制が再び逼迫する可能性がある。