大阪府堺市が公共工事を巡り、請負業者に支払う工事費を異例な形で増額している疑いや、
地元住民からの度重なるクレームなどを受け、ホテル確保などの便宜を図ったことが「 週刊文春 」の取材で明らかになった。
堺市は、約80万人の人口を擁する政令指定都市。
大阪維新の会顧問でもある永藤英機市長(46)は、
「身を切る改革」を掲げ、税金の使い道に厳しい視線を注いできた。
その堺市役所内で、有名な高齢女性がいるという。
「70歳前後とされるAさんです。よく愛用のシニアカー(高齢者用の電動カート)に乗って役所に現れ、
早口の関西弁でまくし立てる。ガスでも水道でも工事を見つけると、すぐクレームを入れます。
Aさんの携帯からの電話は出ないようにしても、別の番号から電話がある。
職員が水をかけられたこともありました」(堺市役所の現役職員)
請負業者が明かす。
「Aさんの抗議で3カ月ほど工事は止まり、年末に約1カ月ホテルを手配した。
工事の中断のコストも含めて、数十万円かかった。公共工事の費用で『ホテル代』とは書けない。
色んな工事費に混ぜて処理したと思う」
実はこの過程で請負業者に対し、異例な対応がなされていた。
「流石に工事を中止するのは無理でしたが、近隣に配慮し、元々の契約では夜間施工だったのを昼間施工に変更した。
交通の便などに大きな影響が出るものの、夜間のほうが単価は高いため、業者に支払う工事費は減額される。
ところが、その減額分を穴埋めするかのように増額して支払っているのです」
結果、業者に支払う工事費が450万円ほど増額されたというのだ。
国交省建設システム管理企画室の担当者も首を傾げる。
公共事業に詳しい法政大学の五十嵐敬喜名誉教授は、
「もし自治体が、住民個人に特別な補償を行うのなら、騒音が受忍限度を超えたことを裏付ける、客観的な記録などを示す必要がある。
税金が投入されているのなら、合理的かつ透明性のある説明が求められます」と指摘。